アソビゴコロ 〜Wedding？〜７【川村壱馬】

ケーキ ページ43

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帰らなきゃ
帰ってご飯作って壱馬先輩の帰りを待って
玄関が開いたらすぐに おかえりなさい！ って言わなきゃ

頭ではそう思うのに足が動かない
だって、違うよ
わたしが悪い方向に考えすぎなだけ
もう高校の時みたいに不安になんなくてもいいんだよ

捨てない、って言ってくれた
ずっと一緒にいる、って言ってくれた

そうだ、ユウちゃんのとこ…
ユウちゃんのとこに行こう

聞いてよ、って
壱馬先輩が知らない女の人といたって
話聞いてもらってスッキリすればいい


こういうこと…だ
いつも壱馬先輩が
わたしが男の人と何かあると
すぐムスッてして機嫌悪くなるの

こういうことだったんだ

嫉妬…ってやつ
こんなに嫌なんだ
黒い変なのが胸のとこずっとぐるぐるして
ありもしないようなこと考えちゃう

わたしの壱馬先輩なのに、って

だけど違う
壱馬先輩は別にわたしだけのものじゃない
わたしがどうこう言っていい立場じゃない
いくら結婚してるからって
知らない女の人と会わないで、なんて言えない

…忘れよう
さっき見たの全部
壱馬先輩が今日帰り遅くなるのだって
バイトだと思えばいい

急にヘルプになったとか、そんなの






『はぁ、はっ、はぁっ…』






おかしいな、息がしづらい
まだ呼吸乱れてる？
体力落ちちゃったかな

後ろの方で小さく聞こえた
自転車のブレーキを踏む音
ちょっとしてから近づいてくる自転車のペダルを漕ぐ音

振り向く前に息がうまくできなくて
苦しくてしゃがみこんだ






星｢Aせんせー！？どうしたの、お腹痛い？｣






ガチャガチャ、って乱暴に自転車を止める音
しぇんしぇー！って呼ぶかわいい声
肩に添えられる優しい手






『ごめ…っ、』


星｢なにがだよ！とりあえず落ち着いて？ちゃんと息吸って、吐いて？｣






ほら、一緒に って
ゆっくり息を吸って、吐いてっていうのを
どれくらい続けてくれたんだろう

いつしか苦しさはなくなって
普通に呼吸ができていた






星｢よかったー…。何してんの、こんなとこで。もう遅いのに｣


『…まだ21時前だよね』


星｢そうだけど…。あ、壱馬さんは？｣


『………遅くなるんだって』


星｢そうなの？じゃあ、俺ん家で一緒にケーキ食べてく？今さぁ、急に食べたいって言い出してコンビニに買いに行ってたんだよ。たまには贅沢させてやろーって｣


『そ、なんだ…』


星｢…うん。おいで？｣






ダメなのに、また頼ってしまった




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