アソビゴコロ 〜Wedding？〜７【川村壱馬】

見慣れない ページ39

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『ではっ、行って参ります！』


壱｢ん。頑張ってこいよ｣






教育実習初日
ビシッと敬礼して玄関で壱馬先輩に向き合う
ふわ…って笑って
ぽんぽん
2回頭を撫でてくれた

頑張ってこい、よ…






『う…っ』


壱｢…なんで今日が最終日みたいな雰囲気出してんだよ｣






かっこいいし、うれしいし、幸せだし
いろんな気持ちが溢れて涙が目に溜まる

流さないように唇をきゅ、と結ぶ






壱｢…ぶすだな｣


『ごめんなさい…』


壱｢ふは…っ、うそだよ。早く行って早く帰ってこい、Aセンセ｣


『はい…っ！』






壱馬先輩に素敵なお見送りをしてもらって
1ヶ月間またお世話になる高校へ足を進めた

オリエンテーションの時に説明は受けてるから
担当してくださることになった橘先生のとこに行って
また会えて嬉しいです、なんて話しながら2年3組に向かった

やっぱり担当は橘先生だったから
また星羽くんたちのクラス

このことは内緒にしといた
じゃないと星羽くんがソワソワしちゃいそうだから

緊張しながら教室に入ったら
覚えていてくれたのであろう生徒たちが
熊城先生だ！って名前呼んでくれた

それだけでぶわわって喜びが溢れてくる

改めて1ヶ月間よろしくお願いしますって挨拶をして
そのまま3組の橘先生の授業を見学する
実際にわたしが模擬授業するのは来週からだって
1週間しっかり勉強しなきゃ…！

席替えをしたのか
星羽くんは窓際の1番後ろじゃなくなってた
窓際のいっちばん前
相変わらず窓際なのかぁって思って見てたら
くるんって後ろを向いた

まだ見慣れない黒髪がサラリ、揺れる
眩しいほどの金髪が日に照らされてたのが懐かしく思える

目が合うと、急に下唇を出して
わたしをじっと見てくる

な、なに…？

思わず眉間にシワを寄せて考えてたら
パッと花が咲いたような笑顔を見せて前を向いた

わ、今の顔ケイくんそっくり
なんだったんだろう
ふふ、と少し口角が上がる
心なしか肩の力も抜けた気がする

…もしかして、緊張してたのバレてたかな
和らげようとしてくれたとか？
なんて、考えすぎか






橘｢今日は熊城先生に皆の古典の実力を知ってもらうためにミニテストを用意しましたー｣






え〜！
聞いてないよ〜、とそれぞれの本音が漏れる






橘｢10点満点ね。5点未満だったら熊城先生に目つけられると思っといて｣






な、なんてことを言うんです…




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