アソビゴコロ 〜Wedding？〜２【川村壱馬】

優しさの裏返し ページ7

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『いつの間に…』


壱｢いいから早く乗れよ。遅刻すんだろーが｣






朝いつも通りの時間に起きてから
樹くんに｢仕事あるから早めに来て欲しい｣と
言われていたのを思い出し
焦って準備をしてたら壱馬先輩が急に一言

｢送ってやるよ、バイクで｣

と…仰ったのです…
何事かと聞いてみれば
免許取ったから、と涼しい顔でサラッと告げられ
マンションの駐車場にまだ新品のバイクが停められてあった

壱馬先輩もそのまま大学に行くそうで
2人で準備して来たわけだけど…

ほんとに、壱馬先輩って何してるのか掴めない
こんなに一緒にいるのに全然分からなかった

壱馬先輩のこと全部…知りたいのになぁ、






壱｢おい、聞いてんのかよ。早くこれ被れって｣






渡されたヘルメットを被らずに持ってたら
既にバイクに跨った壱馬先輩が
わたしの手からヘルメットを奪い
乱暴に ボスッ！ と被せた






『あっ、せっかくハーフアップにしたのに！』


壱｢いいだろ、別に。お前のことなんか誰も見てねぇよ｣


『…ごもっとも』


壱｢早く乗れ｣






催促されて
恐る恐るバイクに跨ってみる

人生初バイク
これで合ってるのかもわからない






壱｢足置くとこ違う。ここ｣


『ひゃっ、！』


壱｢…なに？｣






壱馬先輩に突然ふくらはぎの辺りを触られ
変な声が出てしまった

慌てて手で口を塞いで
首を横に振るけど
ヘルメットで顔が隠れてるのに
意地悪く笑ったのが雰囲気で分かった






壱｢お前、朝から元気だな｣


『そ、そういうんじゃないです！』


壱｢じゃー、元気なちびクマに問題｣


『はっ、はい』


壱｢バイクの後ろに乗ってる人はどんな乗り方をすればいいでしょうか｣


『え…、姿勢良く…？』


壱｢バカかよ。俺に掴まんだよ、落ちんだろ｣






腕を引かれて
壱馬先輩に密着する形になった

体温が伝わってきて
恥ずかしくなって少しだけ距離を取る






壱｢…落ちてぇの？｣


『や、やだ』


壱｢じゃあ、ちゃんと掴まれって｣


『うん…』


壱｢はぁ…｣






言葉を濁すわたしに壱馬先輩はため息をつき
わたしの両腕を前に引いて ぎゅ、 とお腹を掴ませた






壱｢ちゃんとしねぇと送ってってやんねぇ｣


『…そしたらずっと壱馬先輩といれる？』


壱｢…言うこと聞けない奴は捨ててく｣






言い方は冷たいけど
昔はこわかった 捨てる という言葉も
今では優しさの裏返しのように聞こえてきた




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