アソビゴコロ 〜Wedding？〜２【川村壱馬】

好きな人 ページ36

壱馬side.




『壱馬先輩…っ』


壱｢…樹のとこ行ってた｣






素直にそう伝えると
明らかにAの表情は曇った

小刻みに肩が震えてる
…きっと目の前で樹が轢かれる様子、見てたんだろうな

ベッドに腰掛け、泣きそうになってるAの頭を撫でる






壱｢打撲と捻挫で済んだってさ。さすが鋼の男だな｣


『ほ、ん…と、？』


壱｢あぁ。まだ目は覚ましてなかったけど顔色も良かったし。今のお前の方がよっぽど顔色悪いわ｣


『そう、なんだ…。よかった…っ！』






今度は安堵で涙を流しそうなA
…知らねぇけど、勝手に責任感じてんじゃねぇよ






壱｢…お前のせいじゃない｣


『…え？』


壱｢…怖かったな。一緒に居てやれなくて…悪かった｣


『…壱馬先輩、！』






今はまだきっと、話せないだろ
無理やり聞き出すなんてことしないから
だから、俺の前では…弱いとこ見せたっていい

縋るように肩におでこをつけて泣くA






『せ、ふく…』


壱｢…ん？｣


『せい、ふくの…ぽっけに…』


壱｢…｣






震える指で病室にかかってた制服を指さした
Aが言う通り、ポッケを確認する

そこには、くしゃくしゃに丸められたメモ用紙のようなものが入っていた

Aはもう何も言おうとしない

くしゃくしゃのメモ用紙を開けたら
雑に黒く塗られた真ん中に赤い文字






壱｢…んだよ、これ｣






…脅しのつもりか？
ふざけんな、誰のものに手出そうとしてんだよ

…Aに危害加える奴は誰だろうと、容赦しない






『…っ、壱馬先輩！』


壱｢…なに？｣


『壱馬先輩、だめです…っ』


壱｢…なにが？｣


『壱馬先輩まで巻き込まれちゃう…！それだけは絶対にいや…！！』






…は？






壱｢…俺のことなめてんの？｣


『そういうことじゃなくて…っ』


壱｢…上等じゃん｣


『壱馬先輩…、？』






くしゃくしゃのメモ用紙を
ビリビリに破き、ゴミ箱に捨てた

Aの所まで戻り、そっと抱きしめる






壱｢…俺は、お前の、なに？｣


『…っ、』


壱｢…なぁ、なに？｣


『好きな…人』


壱｢だったら？｣


『う、ん〜…？』


壱｢…あーほ｣






軽くデコピンをして、Aを見つめた






壱｢俺は大丈夫｣


『…どうして？だって、樹くんみたいになったら…、』


壱｢こんな俺を守ろうとしてくれる奴がいるから、強いよ｣


『壱馬先輩…』


壱｢…心配いらねぇよ｣






伝わったよ、な…




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