俺だけのものに ページ4
壱馬side.
『ね、ほんとに遅れちゃうから…っ』
壱「…んー、そんなん俺に知ったこっちゃねぇし」
「行ってきます」と言って部屋を出たAについてけば
玄関で座ってローファーを履いていた
俺が学校にいるわけじゃないのに
まっすぐにおろしてる髪はいい香りがして
ナチュラルにメイクした顔は少し大人びてて
相変わらず短いスカートからは白い足が伸びる
なぁ、誰に見せんの?
お前なんてボサボサの髪に
マスクして
膝下スカートぐらいでちょうどいいだろ
自然と後ろから抱きしめて
遅刻する、と焦るAを離せないでいる
『壱馬先輩〜…』
壱「…んだよ」
Aの右肩におでこを乗せていたのを
呼ばれたことで少しだけ顔を上げた
すると俺を見ていたAと視線が合わさって
困ったように眉を下げられる
こんな駄々こねるみたいにして
ガキみてぇって分かってるけど
どうしようもなく腹立つから
壱「…学校行きてぇなら俺のことどうにかして離してみれば」
いつだか北人に
「壱馬って見かけによらず子どもだよね」
と笑顔で言われたことがある
思ってることとは裏腹のことしか言えないし
そのくせに気持ちに気づいてもらえないとすぐ機嫌悪くして
でも自分から こうして欲しい、あぁして欲しい と
言うこともできない
…改めてめんどくせぇ奴だと思う
少しの沈黙
変なこと言ったな、って離してやろうと思ったら
鼻の頭に ちゅ、 とAの柔らかい唇が当たった
壱「…そこかよ」
『だって…』
恥ずかしそうに視線を外し、口ごもる
ほんのり赤くなった頬はチークではない
唇を押さえてもう一度俺を見た瞳は甘くて
これ以上抱きしめてたらほんとにやばい
壱「…もう行けよ」
『えっ…』
壱「遅刻すんなよ」
『誰のせいだと…!』
壱「あ?」
『…行ってきます』
壱「…おぅ」
玄関のドアノブに手をかけたところで
ドン、とAをドアに押しつけ
奪うように唇を合わせた
『…っ、!』
壱「…何その顔、もっと?」
『いっ…行きます、もう!!』
ドアを開けて外に一歩踏み出し
閉めるためにこっちを振り返り
にこ、と俺に笑いかける
…俺だけのものになればいいのに
『壱馬先輩、好き!』
壱「は…っ?」
それだけ告げてドアを閉めた
…っざけんなよ、
Aも
柄にもなく可愛いと思ってる俺も
壱「うっせーんだよ…ばーか」
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mopi(プロフ) - 本当にお話素敵で大好きで土日が楽しみで仕方ないです( ; ; )これからも更新楽しみにしてます、、! (2019年7月14日 21時) (レス) id: 89fe484069 (このIDを非表示/違反報告)
kano(プロフ) - 最高すぎてこっちが… (2019年7月7日 22時) (レス) id: 07e090ba1c (このIDを非表示/違反報告)
Kissxxx(プロフ) - 土日が楽しみで仕方ない。 (2019年7月7日 8時) (レス) id: e97a57c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
apple9484(プロフ) - 早く土日にならないかなっていつも待って終わると悲しいくらいに好きです! (2019年7月6日 23時) (レス) id: 9f35d20aab (このIDを非表示/違反報告)
kano(プロフ) - ぐふぉー好きすぎる!!見てるこっちも一緒にキャパオーバーしちゃいます笑笑 (2019年6月30日 22時) (レス) id: 07e090ba1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れもん | 作成日時:2019年5月5日 18時