アソビゴコロ 〜Wedding？〜２【川村壱馬】

タピオカ ページ28

壱馬side.




並ぶこと30分
やっと買えたタピオカを手にして空いてた席に座った

Aはそれはもう目を輝かせて
いただきます、と言ってからストローを口に含む
ロイヤルハニー…なんとかっていうドリンクを頼んでた
俺は全然分かんないから1番ポピュラーだというミルクティーのやつ






『んん〜っ…！とろける…』


壱｢うまい？｣


『とっても！壱馬先輩飲みました？』


壱｢まだ｣


『早く飲んでみてください。人生変わりますよ』


壱｢んなわけあるか｣






正直、Aの満足そうな顔を見れたら
それだけでいいんだけど

ひと口飲んでみたら
するするっとタピオカがミルクティーと一緒に口に入ってきて
思ってたよりもおいしかった






壱｢ん｣


『どうですか！？』


壱｢うまいわ｣


『よかった〜…。こんなに並んでもらったのにお口に合わなかったらどうしようって思った』


壱｢疲れたけどな｣


『う…』






申し訳なそうに俺を見上げてくるから
おもしろくて少し吹き出した

冗談なのに
全部真に受けるからおもしろい

…ほんとに、Aだけだよ
俺がこんな簡単に笑顔になれるの






『…わたし、壱馬先輩のその顔…好きです』


壱｢…何いきなり｣


『こう…いつもお人形さんみたいに綺麗で整ってるお顔が、ふにゃ…って溶けるみたいで…』


壱｢…意味わかんね｣


『とりあえず、好きなんです！』


壱｢あー、はいはい｣






適当に流してみたけど
内心ちょっと動揺した

いつもそうだ
真っ直ぐ伝えられる好意には
いつまで経っても慣れない

Aは俺が聞き飽きたと思ってるみたいだけど
見事に間違い
バレたくなくて素っ気ないふりするけど
胸のあたりがくすぐったくなって不思議な感じになる

…こんなこと絶対言えないけど






『…壱馬先輩のミルクティー、どんな味です？』


壱｢どんなって…別に普通だけど。飲む？｣


『えぇ！？いっ、いやそれは…！』






俺が口をつけたストローを凝視しながら
手を横にぶんぶん振るA

…ほんとにこいつは考えてること丸わかりなんだわ






壱｢…今なら俺と間接キスできるけど｣


『へっ！？な、なに言っ…』


壱｢へぇ、いいんだ。じゃあ、あげな…｣


『し、ししっ、したいです！』


壱｢…なにを？｣


『か、んせ…つ…き、す』


壱｢…ふは、いいよ。あげる｣






俺が見ても分かるくらい手を小刻みに震わせて
緊張しながら飲んでた

ほんと、いじめがいあるわ




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