アソビゴコロ 〜Wedding？〜２【川村壱馬】

記憶 ページ24

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走って壱馬先輩を追い抜いて
目の前に立った

せっかくかわいくしてもらったメイクぼろぼろだろうなぁ、と思いながらも涙は止まらない

鋭い壱馬先輩の瞳に負けそうになるけど
聞いて欲しい






壱｢…邪魔｣


『壱馬先輩…あ、の』


壱｢俺、暇じゃないから｣


『……会いたかったんです！大学生の壱馬先輩、に…！』


壱｢…は？｣


『よ、しの先輩から…壱馬先輩が大学で言い寄られてて…ひとりで切羽詰まってる感じがするから、そういう時こそわたしの出番なんじゃないかって、』


壱｢…またあいつかよ｣


『だ、だから…わたし…少しでも壱馬先輩の力になれたらって、思ったんですけど…。逆に、怒らせ、ちゃって…ごめんなさい、』


壱｢……、｣


『今日、吉野先輩が服とか全部考えてくれたんです。サプライズってことにしてたから…だから、壱馬先輩には言えなくて…。勝手なことして本当にごめんなさい…！わたし、帰ります、』






今日は壱馬先輩の家じゃなくて
自分の家に帰らなきゃ

こわくて壱馬先輩の顔が見れない

全部失敗だ
何も上手くいってない
調子乗ったことするんじゃなかった
壱馬先輩にもっと近付けたら、って思ったのがいけないんだ

こんなに出しゃばらなければ…






壱｢…健さん、は？｣


『え、？』


壱｢さっき一緒にいた、健太さん｣


『あ…、入るに入れなかったわたしに声かけてくれて、たくさんお話してくれた人で…』


壱｢…っ、はぁ〜…！｣


『ご、ごめ…なさ…』






体が、震える

嫌われたかもしれない
ふと蘇る記憶

" めんどくさくなったら捨てるから "

壱馬先輩に言われた、一言
このままじゃ…捨てられ、る…？






『壱馬先輩、ごめんなさい…ごめんなさい…！』


壱｢…A？｣


『も…、絶対勝手なことしないから…！ごめんなさい、壱馬先輩…っ』


壱｢おい、こっち向…｣


『ごめんっ、なさ…！捨てないで…くださ…！！』


壱｢っ、！｣






壱馬先輩がいなくなったら
わたしどうしたらいいかわからない

彼女になったからって浮かれちゃいけない
壱馬先輩の重荷にならないように
壱馬先輩の邪魔にならないように
支えていかなきゃいけないのに

気づいたら迷惑ばっかりかけてる
壱馬先輩は優しい人だから
きっとわたしのこと放っておけないだけ

ストーカーのことだって
壱馬先輩にはなんの関係もないのに
わたしが巻き込んでる
いらない心配かけてる

こんな彼女…きっと壱馬先輩はいらない




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