Case.49 ページ9
「コナン君の事だから、下駄箱に手紙とか入ってたりして!」
「そ、それは…えっと…たまに…」
ボウヤは途端に視線をうろつかせ、もごもごと尻すぼまりに声が消えていく。梓さんがやっぱり!と声を弾ませた。
待って理解できない。
「靴の上に大事な手紙置くってこと…?汚くない…?」
「んもー、Aさん分かってない!直接伝えるのが恥ずかしいから、必ず開ける下駄箱に入れるんですよ!」
「へぇ…?」
だとしてもよく分からない。直接伝える方が気持ちがこもって良いんじゃないかと思うけど。こういうの、ポジティブな日本語でなんて言うんだっけ…?
「……あ、奥ゆかしい…?」
「…Aさんが言いたいことは分かった」
何故かボウヤがげんなりしてる。
「で、梓さん。その手に持ってる料理はいつもらえるの?」
「…忘れてました。オムライスです」
「ふふ、ありがとう」
さっきからずっと運んできたオムライスを持ったまま喋ってたから、まさかと思ったらまさかだった。梓さんの天然ぶりは通常運転だ。
本を閉じて、綺麗に卵で包んであるオムライスを崩しながら口に運ぶ。
「おいし」
「良かった!」
梓さんがパッと顔を明るくする。これよ。これが笑顔というものよ。見習いなさいそこの男ども。
その男どもの1人であるボウヤは、ちゃっかり向かいの席に座って梓さんにオレンジジュースを頼んでいた。
「さてボウヤ。君が好きなのは蘭ちゃんで間違いない?」
「ブフッ」
「きったな」
盛大にむせてた。分かりやすいなぁ…。
「な、なん…っ」
「あからさまだったからね」
特に初めて会ってポアロに連れてかれた時とか、その辺りの警戒心むき出しだったし。
「年上のお姉さんに憧れる時期かぁ…近くにあんな可愛い子がいたら、憧れもするよねぇ」
「ち、違うよっ!」
「照れなくていいのに。男の子の初恋はそんなものよ。ねぇ透?」
「何故僕に振るんですか」
それはもちろん、近くにいたから。
零はため息を吐きつつ、カウンターで大人しく拭いていた皿を置いた。
「…初恋がなんであれ、今僕を見てほしいのは貴方なんですけどね、A?」
にっこりと安室スマイルで圧をかけてくる零。
「今は初恋の話をしているのよ、透?」
負けじとハニトラ用の微笑みを浮かべて対抗する私。
「……うわぁ…」
そろりと身を引くボウヤ。
しんと静まり返る店内。
まばらに残るお客さん達はほとんどが常連だ。今は関わらぬが吉と断じたらしい。正しい判断だ。
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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時