Case.74 ページ40
《なんかすごく褒めるじゃん》
《まぁ…》
尊敬している上司の汚名をそのままにはしておけない。
それに、降谷さんのサポートに入ってから、ずっと気にしていることがある。
《とても大変な重責を1人で担っている方なんだ。だからこそだろうが、あの人は目的を達成するためなら自分の身をかえりみないような無茶をする。それが心配でね》
こちらに無茶を要求されることは多々あるが、降谷さん自身の無茶はその比ではない。死と隣り合わせの日々を送っている所為なのか、それともゆるぎない信念ゆえか、身一つで危険に立ち向かっていってしまう。
そして、その時自分が隣に並び立つことを、あの人は許してはくれないだろう。
だから。
《待っている人がいれば…少しは自分を大切にしてくれるかなと》
あるいは、隣に並び立てる人がいれば───背を預けられる人がいれば。
あの人を生に執着させることができるのではないかと。
だから自分は、降谷さんの恋路を応援するのだ。
九条捜査官なら、きっと───その場所に立つことを許されるから。
《その上司は、ユーヤさんを部下に持てて幸せだね》
予想外の言葉をかけられて、気恥ずかしさでわたわたと返信を打つ。
《そんなことないさ。いつも迷惑をかけてばかりいる》
《仕事の事じゃないよ。そうやって自分を案じてくれる相手がいるのって、すごく嬉しいことだからさ。ユーヤさんはきっと、ユーヤさん自身が思うより、その上司にとって貴重な存在なんだと思うな》
そう言われて、はたと手が止まった。
そうだろうか。だって、人の心配より自分の心配をしろと怒られる未来しか見えない。
でも──。
《そうだったらいいなと思うし、そうありたいと思うよ》
《うん、その意気だよ。それじゃあ──》
《そろそろ、狩りに行こうか?》
《ああ、待たせてすまない》
おにぎりの食べかすをゴミ箱に突っ込んで、ペットボトルのお茶をぐいっと煽る。
《よし、行こう!》
それを合図に、僕達は怪物が跋扈するフィールドへと足を踏み入れたのだった──。
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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時