Case.73 ページ39
《じゃあ、今日のうちにできるだけレベル上げておきたいね。月末から始まるイベントは参加するでしょ?》
《そのつもりだ。仕事が入らなかったらだけど》
《あは、確かに。それは私も同じだな》
《そういえば、ナインさんの仕事も不定期だったな》
《そうそう。ユーヤさんと同じで、突然面倒な仕事が入ってくるよ。一昨日なんてほぼ徹夜だった》
《偶然だな。僕も一昨日は徹夜だったよ。よくあるのか?》
《いや、あんまり。あ、でも同僚はよく徹夜してるかな》
《そうか。よく効く眠気覚ましと栄養ドリンクは知ってるから、必要なら聞いてくれ》
《うわぁ、知りたくない》
お互いどんな仕事をしているかまではもちろん言っていないが、どうやら忙しさは似たようなものらしい。違いとしては、在宅かどうかだけだろう。
それでこれだけゲームができる余裕があるってことは、多分ナインさんはとてつもなく要領がいいか、もしくは降谷さん並みに凄い人かのどっちかだな。
ああ、降谷さんで思い出した。
《なぁ、ナインさんは料理ってするか?》
《簡単なものならするけど…なんで?》
《実は徹夜続きの時、上司がサンドイッチをくれて。それがすごく旨かったんだが、どうやって作ってるんだろうなと》
《へぇ、それもしかして女の人?》
《いや、男性だ》
字面で見ると女性らしい感じはするかもしれないが。
すると、ナインさんがニヤニヤと笑い出した。
《またまたぁ。否定しなくていいのにぃ》
ま、まずい、本当に勘違いされている!
アバターのモーションどころか、文章越しにも生温かい視線を感じてしまって、余計に焦った。
《本当だ!そもそも、上司には何年も片想いしている女性がいるんだ!!》
今年で何年目になるのか分からないが、片想いの女性は本当だ。降谷さんは男だ。
チャットを打ち込むと、少し間をおいて返信が来た。
《重い》
どうしよう、降谷さんに重い男という汚名を着せてしまった。
《言っておくが、奥手というわけじゃない!むしろその逆で…今は積極的にアピールしているらしいし、好感触だと言っていた!僕も応援している!》
《そっか》
《本当になんでもできる人なんだ!仕事での手腕はもちろん、知識も豊富だし、頭の回転は恐ろしく早い。容姿だってかなり整っている。あんなに素晴らしい人はそうはいないぞ!》
《へぇ》
喋っているわけじゃないのに、ゼイゼイと息が切れる。降谷さんの尊厳を取り戻すべく文章を打ち込んでいる間、妙に力が入っていたらしい。
971人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時