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Case.71 ページ37

「ははっ、そうだろうな。さすがAだ」
「…降谷さん…?」

くすくすと笑っている表情が何故か嬉しそうだ。どうしてだろうかと考えかけて、──ハッとした。
そうだ!!
がばっと立ち上がり、勢いよく頭を下げる。

「あの時は申し訳ありませんでした!」
「…なんの話だ?」
「いえその、プライベートな時間をお邪魔してしまい…」

降谷さんがギムレットに好意を寄せていた事は前から聞いていたし、想いを伝えられたことも知っている。その上で、彼女と2人で出かけていたということは、つまりはそういうことだろう。
どう考えても最悪なタイミングだ。

「ああ、その件については気にしなくていい。仕方のないことだったし、彼女も理解してくれている」
「そ…そうでしたか…」

まさかのおとがめなしとは。どうやら事なきを得たらしい。良かった。
となると、気になってくるのは現在の関係性だ。

「その…降谷さん。九条捜査官とは、もうお付き合いを?」

降谷さんの目がじろりとこちらを向いた。
ちょっと、いやかなり逃げ出したい気持ちになるが、こちらも引き下がるわけにはいかない。プライベートなことだが、この人の立場は特殊だ。いつ何があるか分からないし、相手が同じ組織を追うFBI捜査官なら、関係性を把握しておいた方が何かと都合がいい。

「残念だが、まだそこまでの関係にはなっていない。どうやら警戒されているようだ。…まぁ、逃がすつもりはないが」

怖い。

「それに、アプローチの反応も悪くない。少し気にかかることはあるが…まぁ、ここまで来れば時間の問題だろう」
「………」

正直、ハニトラ並に着々と追いつめられているらしい九条捜査官が可哀想な気がしないでもないが、うちの上司に目をつけられたのが運の尽きだ。自分も降谷さんが獲物を捕り逃すところなど見たくないし、見れるとも思えない。彼女には申し訳ないが、早々に観念してもらおう。

「応援しております」
「ありがとう」
「…いえ」

無意味に眼鏡のブリッジを押し上げて、書類に目を落とす横顔を盗み見る。
それに、…九条捜査官なら。

「…なんだ、言いたいことがあるなら言え」

見すぎたらしい。こちらを睨んできた降谷さんとばっちり目が合ってしまい、びくりと肩が飛び跳ねる。

「な、なんでもありませんっ!」

大口でサンドイッチにかぶりつき、探るような視線から目をそらす。降谷さんが書類に目を戻したのを見計らって、内心ほっと息をついた。


それに、彼女なら───きっと。

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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時

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