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Case.66 ページ32

「Aさんが仕事してるとこ初めて見たけど、なんか別人みたいで驚いたよ。ちょっと無愛想っていうか…いつもあんな感じなの?」

最低限の会話はしてくれていたが、それだけだ。
普段から淡々と喋る方ではあるけど、そっけないと感じたことはなかったのに。

「いや…実は俺も、Aについては潜入していた頃の事しか知らなくてな」
「そうなの?」

意外だな。
赤井さんがわざわざ呼び寄せるくらいだから、てっきりそれなりに交流があると思ってたけど。

「Aとは組織で顔を合わせたのが初対面だ。なんなら、初めは同じビュロウから潜入してることも知らなかった」
「えぇ!?」

これにはさすがに驚いた。
同じ組織の諜報員なのに、そんなことあるのかよ?

「急な決定だったのと、Aとコンタクトをとるのが難しい時期でね。通知が遅くなったらしい」
「でも、組織を抜けた後も連絡を取らなかったのはどうして?」

少なくともAさんは4年前に組織から姿を消したらしいし、赤井さんも少し前に抜けたんだから、タイミングがなかったわけでもないだろう。

「取らなかったというより、取れなかったんだ」

そう言って、赤井さんはほんの少し考えるような素振りを見せると、これは俺も聞いた話だが、とわずかに声をひそめた。

「仲間達がAを発見した時、彼女は出血性ショックを引き起こしていてな。雨が降っていたせいで失血が早く、当時はかなり危険な状態だったらしい」
「…そういえば、ジンに撃たれたって言ってたね」

間一髪で救助が間に合ったってのは、そういうことだったのか。

「ああ、退院するまで相当かかったようだ。その後も、いつ組織の追っ手がかかるか分からなかったから、1年前まで前線を退いていた。だから、潜入中の俺が連絡を取るわけにはいかなかったというわけさ」
「そっか…なるほどね」

安室さんがAさんの足取りをつかめなかったのは、この所為だったのか。

「だが、任務中のAを別人とはな。言われるまで気にしなかったが、あの無愛想さはギムレットを思い出す。ボウヤの言う通り、案外そういうことなのかもしれんな」

赤井さんは懐かしむように口元を緩ませ、ダイニングに入った。

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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時

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