Case.59 ページ21
「君は、Aが組織にいた頃、何をしていたか知っているかい?」
「…ハッキングと諜報のスペシャリストだったってことくらいは」
知っているのか。
おそらくA本人から聞いたんだろう。十分だ。
「あの当時、ギムレットの名は凄まじい影響力でね。情報元にその名があるだけで信用を得られるほどに、その地位を確立していたんだよ」
コードネームを与えられる前の話だが、取引相手に情報を渡す時、中身より先に誰からの情報かを聞かれた。それはギムレットではなく別の工作員からの情報だったが、その所為で取引相手はひどく不機嫌になったことを覚えている。
思えば、あの時初めてギムレットの名前を聞いたんだったな。
「普通それだけ正確な情報を掴むなら、自分の足で取りに行くのが定石だ。でも、彼女が任務の為に拠点を離れたことなんて、僕が知る限りでは片手の指で足りてしまうくらいなんだよ」
それに、コナン君は大きく目を見開く。
やはりこの少年は頭が良い。
「…──ってことは、つまり…」
「そう。彼女の本当の恐ろしさは、あの卓越した情報処理能力なのさ」
とん、とこめかみを突いて見せれば、彼の大きな眼鏡がずるりと下がる。それを慌てて直しながら、コナン君は納得したように何かをもごもごと呟いていた。
「機械に関しては彼女の畑だし、彼女もFBIだ。爆弾処理の方法は知っているだろうから、なおさら任せておけば問題ない。…まぁ、関わらせる気はなかったんだけどね」
「あ、それは電話の様子でなんとなく察した」
「………」
本当に勘の良い子だ。
「でも、処理の方はいいとして…肝心の犯人は?」
「Aが目撃しているから、特徴は分かってるよ。あとは、僕の部下達の仕事さ」
そう言ってにっこりと笑ってやれば、コナン君は渋々ステージへ目を向けてくれたが、ちらちらと周りを警戒している。
この小さな名探偵の我慢が効くうちに、早く犯人を見つけないとな。
会場内に散った部下達に目配せしながら、僕は風見からの吉報を待つことにした。
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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時