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Case.56 ページ18

賑やかな会場のベンチに座り、隣で楽しげに話す子供達を微笑ましく見守る。

「あ、そろそろ始まる時間ですね!」
「ホントだ!」
「よっしゃー!」

嬉しそうな歓声を上げた子供達の目がステージに集中するのを横目に、僕は片耳につけたイヤホンに意識を向けた。
まだか…。
それは依然として沈黙したままで、僅かな焦りを胸に、そっと辺りに視線を走らせる。


事の始まりは、先程の電話。風見からの着信だった。


──例の男が、そちらのデパートに爆弾を仕掛けた可能性があります

以前から公安が目をつけていた男が、ついに動いたとの情報だった。
テロが目的なら、人が密集し、パニックになりやすい場所を選ぶはず。ならば、子供達の言っていたヒーローショーは格好の餌食だ。この会場に爆弾を仕掛けた可能性が高い。

デートだと誘った手前申し訳ないが、こうなっては仕事が優先だ。AはFBIで、立場上関わらせることはできない。相当不機嫌になっていたから、機嫌を取るのはベルモット並みにハードルが高そうだ。ちょっと考えたくない。

「…ねぇ、安室さん」

不意に、隣に座るコナン君が話しかけてきた。観察眼の鋭い彼のことだ。会場に散らばった公安の人間に気づかれたかと思ったが、その瞳が見つめてるのは、僕の向こう側にぽっかりと空いた空席だった。

「Aさん、遅いね。もうそろそろショーが始まるのに」

もしかして帰っちゃった?なんて恐ろしいことを半笑いで言ってくる。それはないと信じたい。

「今日は僕の車で来たし、彼女が帰るには足がないよ」
「あー…そっか」

一瞬目が泳いだ。どうやら彼女に足のアテがある事を知っているらしい。AもFBIだからなんとなく予想はつくが、その相手はこの少年が先生と呼称する、あの女性捜査官であってほしいと願うばかりだ。

「じゃあもしかして…黒ずくめの奴らが何か仕掛けてきた、とか?」
「…君は、何かとそこへ繋げたがるね」

Aが居ないことを勘ぐっているようだけど、残念ながら今回は見当違いだな。

「多分、本当にただ機嫌が悪いだけだと思うよ。クッションを選ぶのを中断させてしまったから。Aの寝穢さはなかなかのものだからね」
「ああ…だから安眠グッズで釣ったんだね」
「人聞きが悪いなぁ、コナン君?」

にっこりと笑って見せれば、乾いた笑いが返ってきた。本当に君は大人びてるな。

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胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます。修正いたしました! (2022年8月2日 2時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年8月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます!修正いたしました。ご不便をおかけいたしました…! (2022年7月31日 17時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 66話、名前変換出来ていない箇所があります。 (2022年7月31日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶(プロフ) - cherry*さん» こちらこそです!更新本当に遅いのですが、どうか最後までお付き合いください! (2022年5月27日 12時) (レス) id: 99e92a821f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月19日 5時

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