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改札を出るのに…
翔「あれ？」
どこに入れたっけなぁ…鞄を探していたら
翔「あっあった。…はいっもしもし」
見つけたと同時にポケットで携帯が震えた。
=あっ今どこ？=
翔「え？最寄り駅着いたとこ」
=今日、Aと出掛けたんやろ？=
翔「うん。どしたの？
何、見てた=今、Aが絡まれてるんやけど=
俺はすぐに電話を切って
降りたはずの電車に再び乗った。
やべ、チャージギリギリかな。
Aちゃんから聞いた駅についてすぐに
碧海に電話をして急いで向かうと
Aちゃんは座りながら碧海と話していた。
翔「Aちゃん！」
驚いた顔で彼女はみたけど帰ろって声をかけて
自然と手を差し伸べていた。
そっと握ってくれた手は小さくて
この手を離しちゃダメなんだと
今日一日、一回も繋げなかった手。
翔「家まで送れば良かったね」
「ううん。大丈夫」
彼女の手にはくしゃくしゃになった袋。
碧海から何があったのかは電話でだけど
大体は聞いていたから
その袋を、見た瞬間繋いでいた手には力が入る。
「木全くん…」
翔「ん？」
「ありがとう…わざわざ」
翔「ううん。
答えたくなかったらいいから聞いても良い？」
「うん？」
翔「…ご飯食べなかったって言う人は…あの人？」
「ん？あー…うん。カフェでの話？」
翔「そう」
「あの人だよ。一緒に住む？どうする？
大学に入って直ぐにそんな話になってさ。
ちょっとお試しでみたいな時があって」
翔「うん」
「結果、遊び歩いてて。ご飯作っても食べてきたから。
とか。そんな言い方ばっかりで…。
私だけがワクワクしてたりしてたのかな？って
思ったりしてて。まぁ、結果他の女の人と
遊んでたんだけどね(笑)」
翔「わかった。話してくれてありがと」
無理に笑ったりしなくていいよ。
翔「Aちゃん、何かあったら言ってね」
「…うん。ありがとう。
あっ家、此処なんだ」
翔「あっそうなの？
じゃあ…俺は帰るね」
「うん…ごめんね」
翔「大丈夫！怪我とか無くて良かった」
「やっぱり木全くんは凄いね(笑)」
翔「え？！(笑)」
「元気になれた。今日も凄い楽しかった(笑)」
翔「本当？それは俺も一緒(笑)」
繋いでいた手をグッと引かれて体勢を崩したら
頬に触れた一瞬の感覚。
「嫌だったらごめんね？じゃあねっ」
こっちの返事は聞かずに家に向かう彼女に
翔「嫌じゃないよ」
って聞こえない返事をした。
翔「俺…どんな顔してたかな…」
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作者名：Chii。
| 作成日時：2021年10月5日 23時
