酔いが覚めたら。Hikaru.Y

《21》 ページ21

..




ツンと冷たかった風も無くなり
春が近付いてきてるようなほんのり温かい日。


だから持参のお弁当も、ベンチに二人並んで……


.




たくさんあるおもちゃの中から選び出すのはほんとに難しいなって強く感じた。


結構大変なお仕事……



光 ｢寒くない？｣



A ｢大丈夫です！｣


1人じゃ絶対寒いと思うのに……
人の温もりって凄い。






光 ｢わ、まただ｣



A ｢ふふ、変わりますか？｣





座る時に確認しなかったこと。


光さんが左利きだってことすっかり忘れてて、
お互いの肘が時々当たっちゃう



.


なんだかとっても微笑ましい失敗じゃない？





光 ｢んー、変わんなくていいや｣



A ｢あ、私がもう少し離れればいいですね｣


数センチ左にズレたけど、

私と光さんの間に見える茶色いベンチの面積が大きくなったことにちょっぴり違和感。




仲悪いのかな、
なんて周りから思われるかもしれないなあ







A ｢当たりませんか？｣



光 ｢うん……当たんなくはなったけどさ、｣






.






A ｢……、｣



スーツの肘辺りの皺の入った部分をキュッと握られ、









光 ｢寒い、から離れなくていい｣





なんだか光さんよくわかんない。


エレベーターで一緒になった時も、みんなで読みに行った時も、昨日も………



いちいちドキドキさせてくるんだもん。





A ｢近い方があったかいですね｣



光 ｢だろ〜？｣







.






気付いたかな。



最初よりもほんの少しだけ距離が近くなったこと。





A ｢光さん、｣



光 ｢んー？｣





だから余計に肘当たっちゃいますね。


.





A ｢ふふ。やっぱなんでもないです｣



光 ｢え？それはずるい｣

《22》→←《20》

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す