混血皇女【オリジナル】 (ページ14)

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第三章一筋の閃光ページ14

売られ始めて、もう幾年が過ぎた。
毎日抱かれに抱かれて汚れきった少女の目は、既に光を失っていた。

仮の姿である「蓮月」と
本当の自分の「羽菜」。

いつの間にか「蓮月」としての仮面が、「羽菜」に張り付いて、いつしか「羽菜」は「蓮月」となっていった。

『本当の自分は何だったのか。
もう忘れてしまいそうだ。』
『忘れてしまえばいいさ。また１からやり直せばいい。』
『僕は……』『私は……』

そんな最中。「蓮月」にある男がやってくる。

短髪で、下手すれば女ともとれる短髪の綺麗な黒髪。
華奢そうに見えて、意外と筋肉質な肌。
落ち着いた暗めの蒼の瞳。

一目で「蓮月」を、「羽菜」を、魅了した。
その男は、頬を少し赤く染め、一言こう言った。

「君は……本当の自分を出してはいないよね。
美しい銀髪の妖狐さん。」
「…なぜ、私を妖狐と言うのですか？」
「それは…俺が陰陽師だからさ。」

妖艶で美しい笑みを浮かべた彼は、
一瞬で「蓮月」を恋に落とした。

しかし、それは険しい道。
花魁とお客。という、当たり前の関係の鎖に、追い討ちをかけるようにして絡みつく「妖狐と陰陽師」という棘。

「陰陽師だけどさ、俺もうダメだ。」
「え？」
「普通は標的にしないといけない君が…悪い。」

彼の言葉の真意もわからず、想いを邪魔して。
彼女の想い、彼の真意が交差する。