運命なんて信じない８ (ページ49)

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そして夢の中の俺は高３になっていた。
家庭教師として会った舞香。
二人ともまだ伊達メガネかけてた。
俺の苦手な英語を分かりやすく説明する舞香。
そんな俺にくれた舞香の英文法書。
二人並んで勉強してた。勉強しながら舞香の横顔に見惚れてた。

舞香を初めて抱きしめた帰り道。
舞香と共演した作品でのファーストキス。
告白して初めて手を繋いだ家までの道。
初めて身体を重ねた日の夜。

俺の初めては全てが舞香だったんだ。

舞香の部屋でバックハグして、まったりする俺たち。
俺の大好きな時間だった。
夕食後はいつもこうしてた。それは最期まで変わらなかった大切な時間。
色んなこと話して、笑ってた。

そして、舞香は俺の前から突然姿を消した。
忘れもしない２年半の別れ。
必死に舞香を探した２年半の間に、俺はデビューした。
撮影先で偶然見つけた舞香はALSに罹っていた。
それで俺の前から消えていたんだ。
やっと見つけた舞香にもう一度、気持ちを伝えた。
そして、結婚した俺たちだった。

真っ白なウエディングドレスの舞香。
本当にため息が出るほど美しかった。
大好きな白バラに囲まれた舞香。
世界中の人に自慢したいくらいにきれいだった。

そして家族になった俺たちの間には凜が生まれた。
初めての育児に悪戦苦闘する俺と舞香。
お互いをパパ、ママって呼ぶけど
二人の時はずっと、舞香、蓮くん。
いつまでも恋人でいたかったから。

俺が共演者から好意を持たれ
舞香と凜が写真に撮られ、舞香は襲われた。
あの時の恐怖は今でも忘れられない。
目覚めない舞香が消えそうだった。
遥香が生まれ舞香は目覚めず
俺は今のように生きる望みを失いかけた。
そして満月に祈った。舞香を目覚めさせてほしいと。

事件をきっかけに俺の家族を公表した。
その騒ぎの中、舞香は目覚めた。

俺が記憶障害に罹っていた時も
舞香はずっと側にいてくれた。
そして俺は舞香に３度目の初恋をした。
もう一度、恋愛した俺たち。

何度となく辛い経験をしてきたけど
いつも二人で乗り越えて来たんだ。
もちろん周りのメンバーの助けもあって。
その度に俺と舞香の絆は深くなり
お互いを想う気持ちも深くなっていった。

better half
まさにそのとおりだった舞香の存在。
舞香は俺の全てであり、片方の翼だった。
翼が片方なくなった今、飛べるか分からない。
でも俺は前に進んで行くよ、舞香。

だから見守っててほしいよ。