運命なんて信じない８ (ページ41)

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ついに舞香の復職だ。
同じ敷地内にいたとはいえ
やっぱり緊張しているようだった。

「じゃあ行ってきます。」

『行ってらっしゃい。無理しないで。』

以前と同じ出勤前のルーティン
ハグとキスをすると、舞香は出勤して行った。
俺的にはかなり心配だけど、まあ様子を見よう。

その後も舞香は順調に仕事もこなしていった。
逆に俺は緊張が解けたせいなのか
久々に熱を出してしまった。

「蓮くんちょっといいかな？」

舞香が体温計をおでこにかざし、熱を計る。

「やっぱり。39度あるよ。横になって待ってて。」

俺は朦朧としながら横になる。
久しぶりの発熱に頭が慣れない。

「ちょっと頭上げるね。首が冷たくなるからね。」

舞香がジェルの氷枕を持ってきてくれた。
ひんやりして気持ちがいい。

『まいかぁ、ありがとぉ…』

「いいの。しゃべるのも辛そうよ？大丈夫どから、眠れたら眠ってね。下がらないようなら解熱剤飲みましょ。」

ベッドサイドにスポドリが置いてある。
飲みたいけど体が動かない。

『まいかぁー、喉乾いた…』

「じゃあ体少し起こすよ？はい。ゆっくり飲んでね。」

『やだー。持てないから飲ませて。』

「…それくらい言えるなら自分でね。」

やっぱりしてくれない舞香。
こんな時くらいいいじゃんか。
熱もあり拗ねていると
赤ちゃんを抱っこするように俺を抱きかかえ
スポドリを飲ませてくれた。

「はいはい。甘えん坊の蓮くんね。」

何かたまにはこういうのもいい(笑)

『熱あるからいーの。凜と遥香の気持ちを理解してんだから。』

「もう！また訳の分からないこと言って。蓮くんの変態。」

舞香は俺を無理やり横にして寝室を出ていった。
何だよー、少しくらい甘やかしでくれよなー。

やっぱり元気になった舞香は怖かった(笑)

それからも舞香は薬が合っているのか
癌に罹患する前と同じように過ごしていた。
そう思っていたのは周りだけで
舞香自身の癌は進行し続けていた。
そして、ついに舞香の癌はステージ４へ。

定期受診に偶然付き添った際に
主治医から言われた。

主「治療の効果はあったのですが、奥さまの癌は他臓器へかなり転移していました。ステージ４です。申し上げにくいのですが、これからは緩和ケアの方向がよろしいかと思います。」

俺は舞香が検査していたことすら知らなかった。

『緩和ケアということは…』

主「はい。あと半年くらいかと思われます。」

余命半年？そんな馬鹿な……