運命なんて信じない８ (ページ40)

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子供たちの視線に気が付き振り向く。
ニヤニヤとニコニコの二人。

「あら、おはよう。どうしたの？」

凜「いや、別に。」

遥「何かいいなって見てたの。」

『だろ？パパとママ。』

凜「遥香、それ以上煽るなって。ベタベタに甘くなるぞ。」

『朝から甘くて糖分補給だ。』

「もう、何言ってるの。早く食べましょ？」

俺の作った卵焼きが食卓に並ぶ。
久しぶりで少し焦げたけど味はいい。

遥「見た目はあれだけど、味はママよね。」

凜「確かに見た目はな。でもうまい。」

『見た目見た目って。パパ久しぶりに作ったんだから仕方ないだろ？』

「そうよ。パパね、若い頃にバラエティ番組で卵焼き作った時はね、すごーく上手だったのよ。ね？」

『そうそう。ラウと一緒の番組でさ。』

凜「早く食って出よーぜ。」

遥「ま、仕方ないけど。これからもこのイチャイチャだもんね。」

なんて子供たちに言われてしまうけど
これが俺としては最高に幸せ！

それから舞香は静養をしながら
復職に向けて体調を元に戻していった。

復職があと２日後に迫った日のこと。
舞香は勉強部屋に、こもっていた。
集中してるだろうからと黙っていたら
なかなか部屋から出てこない。

俺は急いで勉強部屋に向かう。
ドアを開けるとそこには白衣姿の舞香。

『白衣着てどうしたの？』

「何かね、大丈夫かなって。」

『大丈夫って？』

「ALSの時もだったけど、ちゃんと医師に戻れるかなって。」

『前もそうだったんだ。』

「あの時もこうやって白衣を着てみたの。白衣の自分を見て大丈夫って。」

『今も大丈夫だよ。立派な目黒先生にしか見えない。』

「不安を出したら医師として患者さんと向き合えないから。ちゃんと自信持ちたいの。」

『うん。分かるよ。でも、大丈夫。舞香はいつでも輝いてるから。』

「もう、蓮くんのそれが一番信用できないの。いつもそう言うから。」

『だって仕方ないだろ？俺には舞香がそう見えるんたからさ。』

「…ありがと。自信出た。」

真っ赤になって照れてる舞香。
大丈夫。ちゃんと以前の目黒先生になってるよ。
患者さんの気持ちに寄り添う目黒先生にね。
そして、俺の自慢の舞香だよ。

舞香は舞香なりのプレッシャーがあって
こうやって乗り越えて来たんだ。
家庭での舞香、俺と一緒にいる舞香とは別の
医師として職場にいる舞香
センター長として施設を率いる舞香。
それを初めて垣間見た気がした。