運命なんて信じない８ (ページ33)

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(Sakuma side)

ふっかに呼ばれて会社へ行った。
珍しくマジメな顔で話している。
おれに会いたい人がいる？
誰だろ？ふっかに頼むなんて。

今日は予定がなかったから
ふっかと一緒にその人の元へ行った。

着いた場所は、何故か病院。
しかも舞香ちゃんのとこの東都医科大学附属病院。
入院してる方なのかな？

ふっかと病室へ向かうと
着いたのは特別室の前。
誰だろ、偉い人か何か？

ふっかが先に入った。
俺も後に続いて入ると
ベッドにいたのは、舞香ちゃんだった。

は？どういうこと？
俺は頭が混乱して言葉が出ない。

「ありがとう。深澤くん。佐久間くん、お久しぶりね。」

彼女はいつものように微笑んだ。

紫「じゃ、俺はロビーで待ってるから。」

そう言うと、ふっかは病室を出ていった。

衝撃のあまり言葉が出ない俺。

「さっくん。そんなとこにいないで、椅子にかけて。」

彼女はまた微笑んで俺に言う。

「ごめんね、びっくりした？」

桃「あ、うん。…」

「どうしたの？びっくりし過ぎちゃった？」

桃「そうだけど…舞香ちゃん、入院してるの？」

「そうなの。もう4か月くらいかな？」

桃「俺、全然知らなかったよ。こっちこそごめん。」

「だって蓮くんと言わないでおこうって決めてたの。」

彼女はいたずらっ子のように笑った。
そして彼女の口から出る“蓮くん”の言葉に
俺はまだ苦しくなる。

桃「4か月って、そんなに長く？退院の目処は？」

「…まだないかな。いつになるか分からないし、退院出来ないかもしれないし。」

桃「どういうこと？」

「さっくん、あのね。」

桃「うん。」

「私、すい臓癌なの。」

彼女が言った“すい臓癌”が頭の中で響く。
“すい臓癌”？

桃「すい臓癌……あの、俺よく分からないけど、治るんだよね？」

「それは何とも言えないかな。私はステージ３なんだけど、手術は出来ないからそれ以外の方法で治療してるの。」

手術が出来ない？
取り除けないなら治らない？

桃「それでも治るんだよね。もちろん。」

「んー、それは何とも言えないの。治る人もいれば治らない人もいるの。」

桃「舞香ちゃんは治るよね？治るんだよね？」

俺は舞香ちゃんを問い詰めるように聞いた。
彼女が治らない訳なんてない。
そんなことがあるはずがない。
目の前の事実を受け入れるなんて出来るはずがなかったから。