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舞香は１人、不安と闘っていた。
性格上、人に不安を打ち明けない舞香だから
きっと１人になると一気に不安になったんだろう。
『時間の許す限り、舞香の側にいます。』
そう答えると、師長は安心した表情で戻って行った。
仕事の調整はなるだけしたくない。
舞香の病気を伝えれば、きっと休ませてくれるから。
そうやって皆に心配をかけるのは
俺も舞香も一番嫌なことだから。
今は事務所から俺たち９人が独立し
子会社化して活動しているから
余計に心配はかけたくない。
なるべく時間を作るしかない。
舞香のためだ。やるんだ。
舞香の病室に入ると、微熱で顔が少し赤いのに
無理して論文を仕上げている舞香だった。
『舞香、無理するなって言っただろ？』
「今日は調子がいいの。大丈夫。」
『微熱で顔が赤いのに？嘘つかないの。』
「微熱はないよ。赤いのは集中してたから。」
全く、舞香はどこまでも頑固だ。
『じゃあ、検温しよっか。』
「……さっきしたし。…」
『ふーん……何度？』
「…忘れた…」
『はい、だめー。検温するよ。』
検温するとやっぱり37度３ある。
舞香にとっては微熱以上。
そりゃ顔が赤くなるはず。
『はい、そういうことだから。パソコンしまって横になる。』
「あと少しだけ。きりのいいところまで。ね？」
『だめだめ。そんな可愛いお願いしてもだーめ。』
むーっと膨れる舞香を無理やり寝かせる。
納得がいかないらしく、ふくれっ面。
『リスみたいだよ(笑)とにかく今は休むの。』
「…はい。…」
やっと大人しくなった。
もうパソコンは没収だなと片付けていると
「パソコンは持ってかないで。本当にあと少しなの。そうしたら終わるから。」
『分かった。じゃあ無理はしないこと。いいね？』
「うん、約束する。」
そう言って舞香は目を閉じた。
ゆっくり休んでくれよ。
それから俺は仕事以外の時間は全て舞香の側で過ごすことにした。
子供たちには事情を話すと、すぐに納得してくれた。
凜「こっちは大丈夫だから。心配すんなって。」
遥「パパこそ大丈夫？無理しないでね。」
『二人ともよろしくな。』
二人とも大人だから心配することもない。
舞香だけは納得せずに
「もう、私、息抜きできないじゃない。」
と、文句タラタラ。
『いいの。１人にしたらまた無理するから。それに俺は舞香の側にいたいんだ。』
「…無理しないのに…でも、いいよ。側にいて。」
珍しく素直に受け入れてくれた。
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作者名：ちょ | 作成日時：2021年11月20日 18時
