【wrwrd！】無能の妹が幹部に溺愛されている件

妹、会議する ページ23

ここ我々国には月に一度、幹部達が集まって会議をするという決まりがある。通称我々議会と呼ばれるそれは、組織内で生まれた小さな議題から今後の政策までさまざまなことを話し合う。
会議室に集まった幹部たちはトップであるグルッペンの到着を待ちながら思い思いに雑談していた。しばらくして、姿を見せたグルッペンは深刻そうな憂いを帯びた表情に部屋にいた面々は途端に緊張感のある顔になり、彼が口を開くのを静かに待っていた。


「諸君、俺は戦争がしたい。」
「え、いきなり何物騒すぎることぬかしとるんですかこの人。」
「だって最近この国平和すぎでつまらん！」
「素晴らしい事なんやけどなぁ？？」
「Aが来てから戦争してないぞ！」
「ええことやろ！！何が問題何ですかねぇ？！」


グルッペンから神妙な面持ちで発せられた言葉は予想を大きく外れた彼の願望であった。拍子抜けしたように一瞬固まったトントンはみるみるうちに眉間にしわよ寄せて食ってかかった。先ほどの威厳はどこへやら、子供のように主張をつづける彼と説き伏せるように反論する書記長を見ていた幹部たちはいっせいに緊張を解いていた。


「あー、始まったか、グルちゃんの発作。」
『鬱兄、いつもこうなの？』
「いや、毎回ちゃうけど……たしかに最近平和続きやったからグルちゃん我慢の限界だったみたいやね。」
「そういやAは議会初参加やったな。」
『そうなんです、なんだかんだ参加できていませんでした。』


Aの両隣に座るゾムと鬱がいつもの事のように眺めていることからもこのやり取りはよくあることらしく、戦争の多い我々国は周りに敵国も多いが、トップが戦争を起こしたがるのも理由の一つであるといえる。
少しでも我々国に野心を持っているという国を今の状態で見つけてしまったが最後、外交や偵察もそこそこに嬉しそうな顔をした総統が進軍指示を出し始めるのは言うまでもない。


「些細な事でもいい、うちにいちゃもんつけてきてる国ないんかオスマン。」
「んー悪いけど取り立ててそういうのは最近ないなぁ…。」
「ぐぬぬぬ…。」
「別にええやんか、もう少ししたらAちゃん目当てでいやでも戦う相手できるって。」
『私ですか？』
「この前のパーティーとか、Aちゃんの存在はじわじわと他国に知られていっとるからね。」
「なるほどね、美人で有能ときたらほっとくわけないってことか。」
『そんな根も葉もない噂信じてくる国なんてあるんですか…？』


納得できない様子のAに鬱は微笑みながら「男は皆アホやからな。」といいながら頭を撫でていた。

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