妹、謁見する2 ページ2
彼の手にかかれば元国王の権力を失脚させるなど赤子の手を捻る様なものだろうが、それが今ではないと好機を狙っているらしい。が、それもそろそろ限界なのではないかと彼女は思う。あいつらの下らないワガママに付き合っていられるほど優しい人間じゃないといつだったか彼が零していたがそれは尤もな意見で、もしかして近々大きな革命が起きるかもしれない。そんな風に思った。
「まぁ俺はいつもグルッペンのこと裏で護衛する決まりやから心配せんでも大丈夫やって。」
『は?!いつの間に?!』
「ゾム……いい加減普通に俺の部屋に入ってこれないか?」
「ククッすまんグルッペン。Aおったから、驚かせよって思ってな。」
彼女が天井からひらりと降りてきたゾムに驚いているとグルッペンは困ったようにため息を付いてズラし開けられたゾム専用の城内徘徊用隠し通路の穴を見つめていた。
「全く……まぁこんな感じで、ゾムも裏から危険がないか見張っている。安心して欲しい。」
『分かりました…。』
「A、俺がおらんって寂しくなったんか?可愛いとこあるやん?」
『…そういう訳じゃないです。』
「あ、拗ねよったー。」
『拗ねてないです!!もう!先に仕事に戻ります!!失礼します!』
ぷんぷんと効果音がつきそうな様子で怒りながら話を強制終了させて部屋を出ていくのを、ゾムはケラケラと笑いながら眺めていた。
そんな2人の様子を黙って見ていたグルッペンは珍しいものでも見たかのように目を見開いていた。
「お前ら随分と仲良くなったな…?」
「Aがおもろいからな。仕事は出来るし気に入ったわ。いいのを回してくれてサンキュー、グルッペン。」
「……ああ。」
「どうかしたか?」
「いや、別に。それよりなにか報告に来たんじゃないのか?」
「ああ、せやった。」
これなんやけど…とゾムが出した観光調査(隠語)を見ながら頭の隅で予想外の事態に思考を巡らせていた。仲間にすらそこまで興味を示さない彼が、面白いからという理由で彼女に関心を持つのは意外であった。たとえ元仲間であっても裏切りや疑いがあれば慈悲を持たずに容赦なく切り捨てる彼が、戦いの中で強い相手を面白いと言った事くらいしか見た事がない彼があそこまで気に入るとは思っていなかったからだった。
グルッペンは面白いものが見れている反面少し複雑な気分でゾムを見つめた。
770人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零歌 - え、うますぎでしょ!? 憧れます‼ 続き、待ってます、! (2023年3月31日 6時) (レス) @page36 id: 2cc0278ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 面白いところで終わってしまった…!!これからも、気長に作品更新を待っているので無理のないようにしてください!いつでも待ってますから!!! (2022年8月17日 9時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
歴(プロフ) - 小雨さん» こんな更新停滞小説にコメントありがとうございます神作品などありがたいお言葉まで!!そのうちひょっこり現れたらまた楽しんでいただければと思います。 (2020年11月22日 17時) (レス) id: 957608dc41 (このIDを非表示/違反報告)
小雨 - 歴さん。こんにちは!いやー見た瞬間に神作品だと分かりました()更新無理しないでください!出来るときにフラッと帰ってきて下さいね!それまでのんびりと待っておきます! (2020年11月9日 10時) (レス) id: 459de324fd (このIDを非表示/違反報告)
歴(プロフ) - めっぴぃーさん» こんな更新されてるかも分からん作品にありがたいコメントありがとうございます。のろのろ具合は変わるかわかりませんが、気長に待っていただければと思います。 (2019年1月5日 2時) (レス) id: 957608dc41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:歴 | 作成日時:2017年8月15日 21時