1時間は君と【kzh】 (ページ19)

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お昼時間が終わり、

もう本格的に終わりが近づいてきた

今はもう借り物競争が始まっているのだが

どうしても喉が渇いてしまい

葛葉くんの出番が近いにも関わらず

飲み物を買いに自販機に来た

少し向こうでわーわーとした声が聞こえる

何故か少し離れたこの場所では
考え事が多くなる

葛葉くんがハチマキ交換したこととか

みんなが葛葉くんの応援団を見て
見惚れていたこととか、

そんな気持ちを紛らわせるように炭酸飲料のボタンを押す

「……！」

誰かの声が聞こえる

こんなとこ来る人いるんだ

「A……！」

Aさん探してるんだ

私じゃない方かな？

「……A...！」

え？

ていうか、この声...

「AAー！」

『葛葉くん？！』

「いた……」

はぁはぁと息をしながらこっちを見ている

『何してるの？借り物競争じゃないの？...』

「とりあえずきて！」

そのまま手を引かれる

『ちょっ……と、まっ、て』

運動不足をこんなに恨んだのは初めてだった

「Aさん遅い！」

『わっ！』

なんて言いながら葛葉くんは私のことを

抱っこする

『葛葉くん？！おろして！！！』

「だってAさん遅いんだもん」

そのままグランドに出ていろんな人からの視線がいたい

《おっと！2年2組葛葉さん！女の子を抱いて帰ってきました！》

キャーと悲鳴が聞こえる

そのまま葛葉くんはゴールテープをきる

葛葉くんにおろしてもらう

こんなことになるのならもう少しダイエットしていればよかった

『っはぁ、葛葉くんお題なんだっ』

《1位の葛葉さんのお題は！好きな物です！！》

『っえ？……』

「Aさん、貴方以外のことなんて考えられないくらいに好きです。
俺と、付き合ってください」

周りの声は多分とてもうるさいと思う

でも私にはそんな声なんて聞こえない

『よろしく、お願いします！』

嬉しくて嬉しくて葛葉くんに飛びつく

「おわっ」

少しよろけながらも受け止めてくれる

「てか」

『？』

「俺と付き合ってんのに他の男のハチマキなんか付けんな」

そう言って葛葉くんは私のつけていたハチマキをとる

『……葛葉くんも！』

そう言って葛葉くんのハチマキもとる

葛葉くんはローレンの、私はあの子のハチマキをつける

今日は今までの人生で1番幸せな日になった

ちなみに持っていた炭酸飲料はローレンにあげた