ep.54 ページ6
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フレッドはゆっくりと微笑んだ。
自分を遠ざけようと、震えながら壁を作ろうとする目の前の少女が愛おしくて仕方がなかった。
「馬鹿なこと言わないでくれよ」
もう一度、さっきと変わらない一言を、目を見てフレッドは確かに囁いた。
さっきよりもはっきり、明確に空気を伝った言葉は目の下で留まっていた涙をぽろりと零させ、一粒落ちるとダムが決壊したかのように次々と溢れ出した。
「何者でも、変わらない。信じられないなら何回でも言ってやるよ、愛してる。A、きみを、」
「もういい、わかったから」
「俺が言い足りない。ずっと言いたかった、我慢してた。本当に、心の底から、君を愛してるんだ。」
Aはフレッドの肩に顔を埋めた。
シャツをぐしゃぐしゃになるほど握りしめ、うるさい と力なく悪態をつきながらひたすら泣きじゃくった。
「俺は強欲だしせっかちだから、そろそろお返しが欲しいんだけど」
Aは勢いよく顔を上げ、近くにあったクッションをフレッドの頭に叩きつけた。
「うるさい、ばか、私だって、きっと、ずっとずっと、あなたのこと、あいしてる、ッこれで満足！？」
「とんでもなくバイオレンスな愛情だな、A……」
クッションを軽々手で受け止めて床に放り投げ、フレッドはAを優しく抱きしめた。
ぐすぐすと鼻を鳴らしながら脇腹をつねるAにとって、さっきのが今の最大限の愛情表現なのだろう。
「そろそろ隠しきれない、きっとそのうちばれるわ」
「なに？俺への愛情が？」
「ちがう、腕の印のことよ」
「だから？君は可愛すぎるから、クソダサいタトゥーがあってちょうどいいくらいだ」
Aは 信じられない と言いたげに目を見開いた。
潤んだピンクブラウンに朝日が反射してきらりと光る。
「可愛い」
「ちゃんと聞いて！ばれたらあなたもただじゃ済まない、一部の先生たちは知ってるけれど、生徒は誰も知らない」
「俺だけ？」
「そうあなただけ……嬉しそうにしないで、とにかく、あなたまで白い目で見られるの」
「だから？」
Aはぐっと言葉に詰まった。
言葉を奪われたかのように、口が開いたり閉じたりしている。
「だ、だから……えぇ…？」
「俺が守る、それじゃだめか？」
さも当たり前のことを言ったかのようにけろりとしているフレッドに何もかもどうでもよくなってしまったAは「もうそれでいいわ…」とため息をつき、身体中を撫で回されてもされるがままになっていた。
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ちとせ(プロフ) - Rrrrさん» コメントありがとうございます。はい、もちろん……(；；)ただ(私の解釈での)ハッピーエンドにはなりますのでご安心ください(？) (3月9日 9時) (
レス) id: 12c0d6c6fa (このIDを非表示/違反報告)
Rrrr(プロフ) - 最近読み始めた者なのですが救済等は無いのであれば、フレッドもちゃんと…? (3月9日 6時) (レス) id: eeb020f16b (このIDを非表示/違反報告)
赤田 - すごい、悪役令嬢的なことになっても、吹っ飛ばしてる、すごい。 (2023年3月8日 19時) (レス) @page45 id: 3d88a3b324 (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - 村民さん» ありがとうございます♡♡読み返していただけたなんて、とっても嬉しいです(><)フレッドくんのかっこよさの10000分の1も表せていない気がするのですが、これからもお付き合いいただけると嬉しいです( ¨̮ ) (2023年2月20日 12時) (レス) @page48 id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
村民(プロフ) - 初めまして！好みのお話で最近フレッドにハマった事もあり1日で何度か読み返させてもらいました！続きも楽しみにしてます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ (2023年2月20日 5時) (レス) @page47 id: 82c45efafd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちとせ | 作成日時：2023年2月13日 13時
