ep.98 ページ50
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「キスしても起きなかった」
「私はおとぎ話のプリンセスじゃないのよ」
フレッドは立ち上がり、すっかり伸びてしまったAの前髪をかき分けて額にそっとキスをした。
まだ眠たげに細められたブラウンに見つめられると愛おしさが溢れ、綻んだ隙間から涙が溢れた。
唯一の家族である叔母が死んだ、おそらく脱獄した両親に殺されたと聞いたときも心が強ばって固まりきっていたせいで涙も出なかったのに、フレッドの暖かい眼差しがAを見つめただけで涙が止まらなくなる。
この誰より暖かい太陽のような人でしか自分は到底満たされないのだと思い知らされたのだ。
Aは髪に触れていたフレッドの手に頬を擦り寄せた。
少しかさついていて、大きく温かい。
骨ばった親指が目尻に残った涙を拭うように動いて、そのまま顔を引き寄せてキスをした。
額を合わせて微笑むフレッドに困ったように口角を上げてみせる。
可愛い と呟いたフレッドがもう一度唇を近づけると後ろから聞き馴染みのある咳払いが聞こえて、Aは ふ と小さく笑った。
にやにやと笑うジョージの後をついてゆっくりと医務室に入ってきたジニーはAの笑顔に安心したように涙を流し、フレッドを押し退けてAに抱きついた。
「Aったら丸2日も眠ってたのよ！お腹すいてない？今さっき終業式が終わって今から食事なの、私が何か持ってくる？」
「屋敷しもべたちにパン粥でも作らせる？」
「ああ、その方がいいかも…フレッドはどうする？今日だけ特別に何か持ってきてあげてもいいわよ」
フレッドはAだけに見えるように肩を竦めて舌を出し、ジニーの方を向いてチキンにパイにデザートに…と大量の食べ物を要求していた(全部無視されていたが)。
その後ハーマイオニーがAの荷物を持ってきてくれ、マクゴナガルが今後のAの生活について説明しに来た。
「あなたも良く知っているでしょうルーピン先生が、キングズクロスにあなたを迎えに来ますから、彼に着いて行けば間違いありません。彼はこれからあなたの後見人という立場になりますので、何かあれば彼を頼るように。なにか質問は？」
Aが首を振るとマクゴナガルは優しい顔つきになって励ますようにAの背を優しく叩き、医務室を出ていった。
ここからは闇の時代が始まる。色々な物を失うだろう。
それでも、この人だけは絶対に守り抜こう とAはまだ眠そうなフレッドを見つめ、本人が聞いたら逆だと拗ねそうなことを思った。
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ちとせ(プロフ) - Rrrrさん» コメントありがとうございます。はい、もちろん……(；；)ただ(私の解釈での)ハッピーエンドにはなりますのでご安心ください(？) (3月9日 9時) (
レス) id: 12c0d6c6fa (このIDを非表示/違反報告)
Rrrr(プロフ) - 最近読み始めた者なのですが救済等は無いのであれば、フレッドもちゃんと…? (3月9日 6時) (レス) id: eeb020f16b (このIDを非表示/違反報告)
赤田 - すごい、悪役令嬢的なことになっても、吹っ飛ばしてる、すごい。 (2023年3月8日 19時) (レス) @page45 id: 3d88a3b324 (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - 村民さん» ありがとうございます♡♡読み返していただけたなんて、とっても嬉しいです(><)フレッドくんのかっこよさの10000分の1も表せていない気がするのですが、これからもお付き合いいただけると嬉しいです( ¨̮ ) (2023年2月20日 12時) (レス) @page48 id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
村民(プロフ) - 初めまして！好みのお話で最近フレッドにハマった事もあり1日で何度か読み返させてもらいました！続きも楽しみにしてます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ (2023年2月20日 5時) (レス) @page47 id: 82c45efafd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちとせ | 作成日時：2023年2月13日 13時
