ブーメラン以上 ページ26
「…まずい、状況が混乱しすぎている。
兵士による暴動が起きてもおかしくはない」
そんな地獄に叩き落とされるような前置きのあと
イアン班長から全てを聞いた。
と言っても彼も早馬で伝えられたことしか知らないので、詳しいことは現場に行ってみないとわからない。
まず、本部が巨人に占拠されて立体機動に必要なガスの補給が不可能になった。
壁を登れなくなった104期訓練兵が集束し、なんとか本部内の巨人を一掃し、ガスの補給に成功した。
・
しかし、その104期の補給作戦の成功にはある変わった巨人の存在があった。
その巨人は巨人を殺す、というまさに前代未聞の行動を起こし街で暴れ回った。
やがて力尽き、倒れたその巨人の中から現れたのが巨人に食われたはずのエレン・イェーガーだった。
現在は駆けつけた駐屯兵団が保護している、と。
・
『エレンが…巨人、か』
考えられるはずがないが、それが真実ならそうなんだろう。
人類が巨人になれるなど、誰が想像できるか。
考えただけで言葉を失う。
「信じ難い、いや信じることなど不可能な話だが、確かに起きている事実だということをまず認識するべきだ。
とりあえずお前たちは待機だ。俺は至急現場に向かう」
他の精鋭の先輩方は頷いたが、私はできなかった。
『イアン班長、私に行かせてください。
エレンに…会わせてください！』
瞬間、鋭い視線が私の瞳に刺さった。
「却下だ。お前が行って何になる？
そっちはもう十分に兵力が集結している。
むしろこっちが人員不足だ。あいつも飛んでったしな。
俺はお前を過大評価していたのか。
状況が読めないヤツなんぞ余計に連れていくわけにはいかないだろう」
一気にまくしたてて、イアン班長は猛スピードで飛び去った。
「…彼の言うことがわからない、という顔か？
〈このクソ緊急時に私情を挟み時間を割くことなどお前には許されていない〉
足りない言葉も補えないとは、全く残念だ」
そう言ってリコ班長が後を追った。
・
私は
一人でも多くの命を救うだなんて、偉そうにミカサに説教しといて結局ただ足を引っ張っただけ。
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天雪(プロフ) - 体重とか無理のない設定で好きです(笑)素敵な作品、ありがとうございます！ (2020年5月7日 11時) (
レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
紫餡(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます！！長い間気づけず申し訳ありません。。。本当に不定期としか言えませんが待っていただければ幸いです！ (2019年12月1日 15時) (レス) id: 0463c0f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 面白いです！更新期待としか言えませんね...(゜Д゜) (2019年7月28日 18時) (レス) id: a4b09d9bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫餡 | 作成日時：2019年1月22日 16時
