人類最強×天才策士

言葉のかくれんぼ ページ19

「…A、ちょっといい？

できれば、外に出て二人で」









隠された言葉に気づいてる。









全部わかってる









行きたくない＿＿＿









・









でも

そう逃げだすことが一番後悔を残すことだと知ってる。









現実を受けとめて、明日からまた生きていかなきゃいけない。









・









Aは静かな覚悟を決めた。









『いいよ』









・









・









中のお祭り状態から抜け出して、2人してベランダの木製の手すりにもたれかかった。








びっくりするほど真っ暗な闇の中で、小さな蝋燭がお互いの顔をなんとかわかる程に照らしてくれる。









でも、いまにも風に吹き消されそうな不安を抱えて揺れている炎は、私たちのこれからそのものだ。









「…変える気はない？



なんてほんとに聞くだけ無駄なんだろうね」









『私はきっとその為に生まれてきた。
そして、あの三人と夢を叶える。


これに、私の全てを懸ける。









アニにも曲げられないものがあるんでしょ？
＿＿＿もっとも、憲兵団にはそこまでこだわってないみたいだけど』







はぁ、とため息をついたその顔はどこか嬉しそうで。






「あんたのその鋭さにはきっと一生敵わないんだろうね」






『アニはわかりにくいようでわかりやすいからね』





Aもくすっと笑みをこぼし、一瞬穏やかな空気に包まれた。









・









『ねぇ、アニ』






「なに？」









『私と、友達になってよかった？』









・









「…意味のない質問は嫌い」


"本当はわかってるんでしょ？"









『わからないから聞いてる』


"ちゃんとあなたの口から聞きたい"









・









「…うん！


本当によかったと思ってる」





少し儚げに笑ってみせたアニはしっかりと頷いた。









その笑顔に誘われて、Aの瞳が潤んだ。









理性ではこんな現実認めたくないって思ってるのに
からだは受けとめてるなんて＿＿＿









・









これが実質、Aとアニとこうして顔を合わせて言葉を交わせる最後の機会。

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