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その日の夜
私が夕食を食べているとき、ラドはいなかった。
レイモンドさんがいたので、どこにいるか聞いたところ、
帰ってきて、夕食も取らずに、部屋に入ってしまったという。
キャサリンとレイモンドさんは、帰ってきた早々、書類の整理で忙しそうだったので、
私が、ラドの夕食を届けに行くことにした。
最初は遠慮されたけど、私、頼みたいことがあるんです、と言ったら渋々やらせてくれた。
ラドの部屋いくのはじめてだ。
ちらかってそうだな。頭もちらかってるけど。
考えてるうちに部屋の前にきた。
やっぱ城主の部屋であって、扉も煌びやかだ。
なんかノックするのって緊張する。
コンコン______。
「夕食を届けに来ました。」
おーいー。返事くれー、ラド。
…。
入るか。
恐る恐る手を掛けゆっくりと重々しい扉を開ける。
「うわぁ。」
私の予想の正反対だった。
整理整頓されていて、とても清潔感のある部屋だ。
やはり私の部屋より大きく、高そうな骨董品も置いてある。
この部屋の主はソファで寝ていた。
疲れてるのかな。
近くのテーブルに夕食を置き、
ソファで寝てるラドを見る。
サラサラした金髪がランプの淡い光に照らされている。
うん。可愛い。寝顔天使かよ。
なんで、こんなに萌えが転がっているんだ!…ほっぺもちもちしてそう。触りたい。
あたりを見回す。
いやどうせね、夕食の時間だから起こさなければならないのですよ。だから、起こす前に少しぐらい触ったっていいじゃないか。もし、起きても起こすためにしたこと。なんてWinWinなのだろう。
自分で自分を正当化する。
頭の中では葛藤していたがラドのほっぺへと手が伸びた。
そして、その柔かそうなほっぺに触れた。
いや、触れようとしたのだ。
しかし、いきなり強い力に引っ張られ、突然視界が反転した。
私の視界に、豪華なシャンデリアとさっきまで寝てた生徒の顔があるではないか。
その生徒は私の額に"拳銃"を私に向けている。
普段はニコニコと笑う無邪気な顔。
今はそれが夢かのように感じられる。
獲物を捕まえたときの魔物のような
いや魔物の目なのだろう。
私の目を1ミリも逸らさない。
私は突然のことでわけも分からず、押し倒されてることもあったが、
それよりも今拳銃を向けられてる恐怖で動けなかった。
部屋の中は2人の息の音しかしない。
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作者名:Chiroru | 作成日時:2019年1月3日 15時