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「…あ、あと、安心してくださいね。心の中でなんか騒いでらっしゃいましたが、私何も見ておりませんから。」
私なりの優しいウソです。
「げっ…。心読まれてたの。え、じゃぁ、オカンっていうのも?」
「私は毒舌なオカンなのですよね。」
「い、いや、天使なオカンですよぉ!!!てか心読まないでくださいっていってんじゃないですか!」
(でも、レイモンドさんに見られてなくて良かったぁ!!!もぅ、あれは黒歴史…。)
「すいません。ついつい…。」
やっぱりカオル様は面白い方です。
「ラドルファス様の調子はどうですか?」
「うーん。なかなか魔法は使えこなせないね。
魔法は発動するんだけど、お花にしかならないんだよねー。けど、ラドって魔力高いですよね?」
「左様でございます。あの方は、一国の王子ですから。」
「ん?王子だと魔力高いの?」
「カオル様は知りませんでしたか。この国でいう"王子"というのは、王位につく権利がある者のことを指すんです。
だから、今の魔王はラドルファス様の実のお父上ではございません。
それに、魔物には親はおりませんしね。」
「…え。それじゃあどうやって?」
「まぁ、生み出した者をあげるとするなら、それは前世の私たち自身ですかね。前世の私はどんな人かは、わかりませんが…。」
(そういえば、オリヴィアさんも魔物について何か言ってた。)
「…私たちは、前世に人間の世界で酷く絶望や苦しみ、呪いを受け死んでいった者たちです。それにより、前世の結末が自分自身にとって酷いものであるほど、魔力が高いことが多いです。
しかし、器が小さければ、魔力は暴走し、本能のままに荒れ狂う、ニンゲンが俗に言う
だから魔力を身体に留めておくことができ、かつ魔力が高い者こそが"王子"もしくは"王女"に選ばれるのです。
…ラドルファス様は、魔力が暴走したことがあるのですよ。しかしラドルファス様は暴走を自分自身で止めました。それは凄いことなのです。通常ではありえないことですから。
普通だと器はそのまま壊れて魔力に溺れ、死ぬまであの醜いサマで生きていくのですからね。
だから、王子に選ばれたのです。魔法は使えないですがね。
そして今、現魔王同様、ラドルファス様は人間との共存を望んでおります。」
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作者名:Chiroru | 作成日時:2019年1月3日 15時