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私がホットミルクの3分の1飲み干した頃、オリヴィアさんが口を開いた。
「今日はお疲れ様。二人ともよく頑張ってくれた。それで、言いたいこととは、一週間後に城に向かって欲しい。聖者様からお呼び出しだそうだ。
聖者様曰く、そのまま城で暮らしてほしいのだそうだ。その方が魔法の使い方や、礼儀作法全てが学べるからな。それに城に勇者がいれば、安全だろうしな。」
城か…!
「は、はい。」
「あと一週間だが、魔法の特訓はやるつもりだ。よろしくな。」
「「はい!」」
▫▫▫▫▫
その夜、私はもらった小枝に力を込める。
「―――フラティカ!」
やっぱ何も起こらない。
「もふ子、私魔法使えないのかな。」
「うむ。多分オマエ勇者じゃないしな。」
「は?」
「でも、凄くイイ匂いはするんだよな。」
「いや、発言ジジイかよ!いや違う。待って勇者じゃないって。」
「え、聞きたい?でもなぁ…。」
「ノルンさん。言ってください。」
「あ、言います。いや、あのね、オレさ勇者を今回つれてくる担当が弟だったんよ。
だから、お兄様のさ、オレの方が優れてるはずなのになんでオマエが、勇者連れてくる役目なわけ?てなっちゃったのよー。
そんなに自信があればもっと凄いのつれてくればって、言われたからさ。そしたらさがしてやろうってなるじゃん?
まぁ、探しても見つかんなくて、途中でいろいろあったし。結局オマエが拾ってくれたし、オマエみたいなやつだったら勇者にもなってくれるんじゃないかって。ね?実際は魔法も使えないあっちのニンゲンつれてきちゃっただけだったんだけど…ブツブツ。」
「つまり、それってさ、違う人だけど連れてきちゃったってこと?」
「てへっ。」
「もふ子…オマエふざけるなぁぁぁぁ!!!」
てへっ、じゃないわっ!
「まぁ、でもイイ匂いはするぜ。オマエ。
良かったな!」
「は?キモイです。おじさんですか?帰してください。」
怒りのせいで本音が漏れる。
「いやいや、イイ匂いがするほど普通は魔力が高いんだよ、って、まぁ、まぁ落ち着けって。」
「落ち着けないよ!ちょっとオリヴィアさん!!」
もふ子を引っ張り、オリヴィアさんの部屋に行った。
淡い光が点るオリヴィアの家の中から声を荒らげた少女の声が漏れる。
月に少し雲がかかっているが、満天の星空が煌めく夜だった。
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作者名:Chiroru | 作成日時:2019年1月3日 15時