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大きな大きな、それは童話の中にでてくるような月。
月明かりに照らされている森の中。木の葉が風にカサカサと音たて揺れる。
そこに、両腕を自分の体に抱きしめながら一人の少女が歩いていた。
「あぁ、暗い。もぅほんとどこまで行けばいいの…。」
歩いても歩いても見える風景は変わらない。風の音以外ほとんど聞こえない。少し恐怖すら覚える。
それでも、私が前に進むのは、
「きゅい?」
私の目の前を歩く白くもふもふした生物のせいだ。
▫▫▫▫▫▫
今から5時間前
今思えば、その日の月はやけに丸く、大きくそして輝いて見えた。
帰り道、いつもと変わらない道を歩いていた…。
「今日も疲れたー。早く家帰って、ご飯たべよーと。」
そのあとはお風呂入ったり、パソコンしたりゴロゴロしたりしちゃってーなんて。まぁ明日は休みだし朝まで起きてたって大丈夫、とか考えながら。
いつもいつもほぼ同じことを繰り返す毎日、それを変えてくれるのが、ゲームや、アニメ…。
そういう刺激が欲しかったのだ。あのワクワク感や、ドキドキ感、胸の奥底から込み上がる気持ちは現実ではなかなか味わえない。
だから、明日が休みだと、自然と足が軽くなるのだ。
まぁ、少し自分のテンションが高かった以外いつもと変わっていることはなかったのだ。
そう、いつもと変わらないはずだった…
のだが、
「きゅい…。」
「は???」
その声は少し弱々しい声だった。聞こえてきた場所は空き地だった。しかし、何も手入れされていなく草がこれでもかというくらいに生い茂っている。
まぁ、野良猫の声が聞こえるのはいつものことだ。
しかし、真逆の きゅい
鳥かなんかか??とか思いながら、心配と好奇心とには逆らえず近寄ってしまったのだ。
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作者名:Chiroru | 作成日時:2019年1月3日 15時