恋愛偏差値〜あなたの恋は？〜

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有給を取って
午前の間に引っ越しの準備を済ませ
午後イチで新居に入居できるように
準備は万端だった



「我ながら仕事が早いわ(笑)」



鍵を掛けて
毎日駅まで歩いた道を
振り返るかのように歩いてみる。



「あっ、あの店……………」



角の小さな花屋さん。
引っ越しの記念に
小さな鉢植えを買う。


普段は絶対に選ばないような
私らしくないピンク色を。



「いつも殺風景って言われたっけ………」




ｲｪｿﾝはいつも
『ビジネスホテル並の生活感がない部屋』
だと笑っていたけど。





カツカツと
ヒールの音が止まったのは
反対側の歩道をｲｪｿﾝが歩いていたから



咄嗟に背中を向け
息を潜めて人混みに紛れる




もしかしたら家に向かってる…………？





ふとよぎる予感に
足早に駅に向かい
目的地まで急ぐ。





新居はさほど変わらない広さ。


駅と会社には
それほど遠くない立地。



必要なものだけ荷解きして
気晴らしに外に出る。




向かった場所はいつものバー




私の姿を見て



「珍しいじゃん。平日に。」


「悪い？飲みたい気分なの。」


「ったく、相変わらず可愛くないな。
何、飲む？」


「何でも。」


「ちょっと待ってろ。」



シャカシャカと
目の前で作られるカクテル




「どうでもいいことだけど
マスターって手がキレイだよね。」



「当たり前だろ、商売道具だからな。」



スーッと
差し出されたグラス



薄い青。
まるで海みたいな透明感。



グラスに口をつけると



「ん。飲みやすい。」



「チャイナブルー。
ライチとグレープフルーツだから飲みやすいだろ？


お前さ、何か悩みでもあんの？
目が笑ってない。」



「そりゃ、悩みの1つや2つぐらいあるでしょ？
生きてたら。」



私の悪い癖。
心配されることに慣れていないから
甘えることがニガテ。



だから
突っぱねてしまう……………



「まぁ、他人だから詮索する気ないけどな。
いつものヤツらといないことが
気になっただけ。」



そっか。
モエとAが隣にいないこと
それは不思議な光景なんだ………………



「マスター、一緒に付き合って。」



「まだ仕事中。」


「知ってる。
だから、一口だけ。」



マスターは小さなグラスに
ビールを少し注いで
私のグラスにそっと当てる。




「私ね


別れたの……………



今度こそ……………きちんとケジメつけなきゃ」





マスターに吐き出した言葉。
グラスの中のアルコールを一気に飲み干した。

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