【d！】悪魔に取り憑かれた系幼女lll (ページ33)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:18,922 hit

教授とわんわんページ33

本を読みおわり愛しい彼女Aが図書室から出て行き私と兄さんだけになった。彼女に紹介する為に出した本をしまい椅子に座っている兄さんの前に私も腰を下ろした。

ni「なぁ、どう思ったん」

「…と、いいますと？」

ni「さっきAに神話の読み聞かせしてたやん。そんときさ正直どう思ったんや」

「そう、ですねぇ」

あの神話を読んでいるとき女神と彼女を、使いと男の神を無意識で自分達に重ねてしまった。あの使いは私たちで男の神は…グルッペンさんだろうか。そう考えると何故かしっくりきて段々と声が震えそうになった。

「…自分が、分からなくなりました。正しいのか正しくないのか。」

今の愛し方は合っているのだろうか。自分のこの愛は彼女に伝わっているのだろうか。分からない。頭の中でずっとぐるぐると回っては答えが導き出せずにいてため息が出そうになる。

ni「じゃあ感想は？あの感想聞いてどう思ったん？」

「あの感想ですか…。あれは正直ドキリとしました」

───────可哀想そうです

彼女と女神を重ねてみていた私からしたらそれは遠回しに"その愛し方は私にとっては苦痛だ"と言っているようなもの。思わず冷や汗が出たくらいだ。でもその後に聞かれたこと

『彼女は幸せだったのか』

私には幸せなんだろうと思った。最後ではあるが1人に深い愛を貰い触れることが出来たから。それ以前に歪んでいたとしても沢山の"アイ"を貰えたから。でももし、その沢山の"アイ"が彼女にとって苦痛なものだったとしたら？その歪んだ"アイ"を受け入れられなかったとしたら？

「もし彼女にとってそれが苦痛だったとしたならば…彼女は幸せだった、とは言えないでしょうね」

もしそうだと気付けたなら、彼女の苦痛や拒絶に気付けたなら、私は助ける人になれるだろうか。彼女をしっかりと守って逃がすことができるだろうか。きっと躊躇ってしまうだろう。私だって彼女をこれ程にないくらい愛しているから。
美しくて清らかな彼女を。
優しくて聖母のような彼女を。
癒しを与えてくれる彼女を。

「兄さんはどうします？」

ni「ん？何が？」

「彼女が今の愛され方に苦痛を感じていたら…どうしますか？」

ni「そんなん助けるんが当たり前やろ。愛してるとはいえ俺らが願うんはアイツの"幸せ"やろ。Aが苦しんでるんやったらそれは"愛してる"とは違う。」

兄さんは凄いと思う。そうやってスラスラと言えるから。俺はきっと躊躇うから。ならせめて私は逃がしてあげよう。