FULL MOON 5

楽しそうで何より ページ42

☆亮






『タカくんのライブね、凄かったよ。대박(テバッ)…私も頑張らなきゃ…』

弾んだ声でそう話すA。
テバッってなんだ？
韓国語か？
最近、Aは意識せず、韓国語を口にする時がある。
まぁ、普段あちらにいるから、仕方ないっていえば仕方ないのかもしれないけど…とりあえず、

「タカくんって誰だっけ？」

そう聞けば、

『ヒロのお兄ちゃんのタカくんっ。』

「ヒロって？」

『え、亮くん、そこから？』

「え？」

『MY FIRST STORYのヒロだよ。フェスで仲良くなったって、前話したじゃん。ヒロのお兄ちゃんは、ONE OK ROCKのボーカルのタカくんで…』

Aはそう話す。
確かに以前、フェスで仲良くなった人が云々と話していたけど…。
そっか、MY FIRST STORYのヒロだったんだ。

『でね、ヒロがライブTシャツを買ってくれたの。』

「へぇ、良かったね。」

『うん！』

ライブTシャツくらい、俺も買ってあげるけどなぁ。
でも、まぁ、Aが楽しそうだから、いっか。

そんな電話をAから貰った次の日、ネットがざわついた。

ワンオクのライブにFULL MOONが来ていたって、彼らがライブTシャツを着ている写真や色んなシチュエーションで撮られた写真があがっていた。

コレがヒロに買ってもらったTシャツか…。
あ、サングラス使ったんだ。
Aの頭にちょこんと乗っている以前買ってあげたサングラス。
耳には健さんがプレゼントしたピアス、首元は隆之介さんがプレゼントしたチョーカー。

「ははっ、ほぼ皆からのプレゼントじゃん。」

そう呟きつつ、まぁ、全体の比率で言えば、俺の勝ち。
キャスケットもサングラスもスカートもブーツも俺がプレゼントしたものだもの。

煩くなる人が居そうだな、なんて思いながら、今度ライブで帰国するなんて話をしていたAの楽しげな声を思い出す。

「楽しそうで良かった。」

小さく呟いて、Aの日本ライブのうち1日は顔を出そうと考える。

休み、あったかなぁ。
まぁ、休み無くても絶対ライブは、行くけどね。






…

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