FULL MOON 5 (ページ29)

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寂しくなったページ29

☆

健くんと隆之介くんが仕事のついでに会いに来てくれた。
嬉しい。
だから、亮くんに電話した。
そしたら、とても寂しくなっちゃった。
翌日、自宅に来た彩乃に、

「ねぇ、彩乃、飛行機取れる？」

そう聞いたら、彼女はニコリと笑った。

「本日の飛行機とってあります。」

彩乃、流石だよね。

「わかった。準備する」

彩乃は私が帰りたいと言い出すのを見越して、ここに来たんだな。
なんて思いつつ、必要最低限の荷物を持って家を出た。

居れても一日、二日だし、今回の休暇で帰国するつもりはなかった。

「吉沢さんの仕事は今日は午前中のみと聞いてますよ。」

自宅マンションまで送ってくれた彩乃はそう言って私を車から下ろすと帰っていった。

亮くんは仕事終わったら、寄り道せずにすぐ帰ってくるかな？
夕食作ろうかな？と冷蔵庫を開けたら、飲み物しか入ってなかった。

「買い物、してこようかな。」

亮くんは仕事終わったら、まっすぐ帰ってきそうな気がする。
とりあえず、夕食の食材を買ってこよう。

▽亮side

「ただいま〜。はぁ」

誰もいないはずの家。
だけどなんとなく、"ただいま"と言ってしまう。
Aと一緒に住んでいたクセ(・・)が未だに抜けないなぁ。なんてぼんやり考えていた。
今日は午前中のみの仕事だったけれど、なんだか疲れちゃって、寄り道せずに帰宅した。
夕飯、どうしよう？作るの面倒くさいなぁ。
と思いながらリビングのドアを開けたら、

「亮くん、お帰り。」

「え、」

夢？
昨日電話した時に見たピアスとチョーカーを付けたAがそこには居た。

「あれ？」

「亮くんが寂しくなったら帰ってきなって言うから、帰って来たよ。」

そう言って俺に抱きつくAを

「はは、そっか。うん、Aお帰り。」

そう言って抱き返した。

「ただいま。」

そう呟く俺の大事な妹Aが可愛い。
A寂しいって思ってたんだな。
俺も、Aも、寂しがり屋だな。

夕食はAが作ってくれていた。
明日、俺も珍しく仕事は休みだし、久々にAとデートしよう。
どこに行こうかな。

…