FULL MOON 5 (ページ27)

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二人旅ページ27

☆神木隆之介side

あるテレビ局の旅ロケ。
健さんと二人旅の企画だった。

「A今、休みなんだって。会いに行こう。」

と健さんはいきなり言い出した。
確かに韓国はイタリアへの乗り継ぎ空港だけども…。
健さんの思いつきに慌ただしくなるスタッフ達。

「…健さん？」

彼が予定にない行動をするのはいつものことだけど…。

「リサに頼んでたピアスが出来たんだ。お前もAにあげるものあるんだろ？」

と痛いところをついてくる健さんにため息を一つ。

「Aにはもう言ってあるの？」

「ああ。レストラン予約したって。」

「そう。仕方ないなぁ」

なんて、口にしながらも、可愛いAには会いたかったから、却下するつもりはなかった。

▽

韓国の空港で、Aと彼女の秘書の彩乃が迎えに来てくれていた。
今回のレストランはAのバンドメンバーが予約してくれたそう。
健さんの威圧にちょっとビビってるみたい。
若いなぁ。

彼女のバンドメンバーは概ね、俺らと同じ。
Aを大事にしていて、守ろうとしている。
そこに恋愛感情が絡んでいるのかはわからないけれど…。
リーダーとか言うこの子は信用できるかな。
健さんも彼の様子を観察している。
まぁ、お亮達が何も言わないんだから、Aのメンバーの身辺調査は終わっていて、彼女の害にならないと判断しているよね。
でも、まずは自分の目で見ないとねぇ。

牽制の意味を込めて、俺達の動画にAを出演させる。
コレで日本の芸能人は牽制できるかな？
テレビ局へ提出するための動画を取り終えると、健さんはAにプレゼントを渡していた。

「わぁ、やっぱり、健くんはセンス良い。」

健さんから新しいピアスを受け取って喜ぶA。

「つけてあげる。」

自ら手を出してAの耳につける健さんをちょっと驚いた顔をしてみているシウ。
健さんが甘々なのは、"Aにだけ"だけどね。

「やっぱり、似合うね。可愛い。隆之介も、Aに渡すものあるよね？」

健さんにそう言われて、リサに作ってもらったチョーカーを出す。

「ほら、チョーカー。可愛いでしょ？」

「あ、可愛い。」

「つけてあげる。」

結局、俺もAには甘いんだけどね。

「二人共、ありがとう。」

俺達はAを守らなきゃいけない。
自分達がAのすぐ傍に居なくても…。

…