FULL MOON 5 (ページ26)

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距離が近いページ26

☆シウside

『急で悪いんだけど、明日、どこか、レストランの個室取れないかな？』

いきなりのAの申し出に、

「良いよ。何料理が良い？」

と聞けば、

『出来れば韓国料理が良いな。』

と返ってきた。

「ん、じゃあ、ウチで経営しているとこ、紹介する。住所送るな。」

『ありがとう、シウ。明日、シウも一緒にどう？』

「まぁ、暇だし。良いよ。」

Aに誘われたのが嬉しかったから、そう気軽に返事してしまった。

▽

翌日、待ち合わせ場所に現れたのは、Aとめちゃくちゃイケメンな日本の俳優二人。
日本で会ったことのある視線が鋭い俳優さんだ。
三人をレストランのVip専用の個室に案内する。

「あ、シウ、お店の予約ありがとう。」

Aはそう言って、自分の後ろに立つイケメンに、

「健くん、隆之介くん、シウは今日のお店を予約してくれたの。」

とニコニコと笑いながら告げた。
タケルくんと呼ばれたイケメンは、ニコリと笑うと

「ありがとね。」

と言い、リュウノスケくんと呼ばれた彼はニコニコと笑いながら、

「我儘言ってごめんね。ありがとう」

と言った。

「いえ、大したことはしてないです。お気になさらず…」

と俺は返し、着席を促した。
タケルくんは、Aの隣に座った。

「A、リサから新しいピアス貰ってきたから、あとでつけてみて？」

Aの耳を触り、ニコニコと笑い言うタケルくんにAは、

「わかった。健くんセレクト？きっと格好良いだろうなぁ…」

と返している。
なんだろ、距離近いな。なんて思いつつ、ふとリュウノスケくんが家庭用のビデオカメラを持っているのに気づく。

「健さん、回しますよ。」

「うん。」

「僕達はこれからイタリアへ行きますが、今日はちょと寄り道をして大事な妹に会いに来ています。」

カメラを構えたリュウノスケくんがそう言うと、ニコリと笑ったタケルくんが、

「皆知ってるかな？FULL MOONのAだよ。」

Aの肩を抱き寄せて言った。

「日本の皆さんこんにちは！Aです」

そんな風にいきなり撮影が始まって、何故か俺もカメラにうつしてもらった。
韓国アイドルみたいだな、なんて思った。
彼らはAを妹と言うけれど、彼女との距離が近い。
日本人はこうなのか？
俺には分からなかった。

…