私を見て ページ20
カン・スア
あの人の部下は優秀よ。
だから、私が仕掛けたこと、きっと気づくはず。
一番に気づくのは、きっと彼で、対応するのも、彼。
私の名は出ていないから油断するはず…。
今度こそ、彼を攫って。
今度こそ、彼を閉じ込めて。
彼を奪う計画を念入りに立てていたのに。
「なんで、貴方達がっ」
私の目の前には、愛しい彼ではなく、
彼がおもりをしていたキム・テヒョンとあの人の男と、あの人の部下。
「お前の狙いなんてお見通しなんだよ、カン・スア。」
吐き捨てるように言うキム・テヒョン。
「あぁ、嫌だわ。彼に守られているだけの、男のくせに…。」
私の言葉にキム・テヒョンが私を睨んだ。
「彼はどこ？今度こそ私が貰い受けるわ。」
「お前になんて渡さない」
キム・テヒョンが叫んだ。
「あら、だって、そこの、あの人には貴方がいるんでしょう？なら、彼は要らないじゃない。彼も、だなんて、あの人は欲張りなの？」
あの人の男を指差しして言えば、あの人の男は嫌な顔をした。
「シオニの目にお前が映ることなんて一生ないよ、カン・スア」
キム・テヒョンは、なんて、酷いことを言うのかしら？
「彼の大事な人を貴方が奪ったんだから、彼を私にくれるわよね？パク・ジミン。」
私に名指しされたパク・ジミンは、拳を握っているようだ。
「駄目です。シオニヒョンはどこにも、誰にもあげません。」
はっきりと言う、パク・ジミン。
「あら。貴方も欲張りね。彼の大事な人を奪うだけあるわ。彼の、リュウ・シオンの幸せを奪う嫌な人。」
私の指摘に、パク・ジミンは眉を寄せた。
「貴方よりも長い間、あの人を守ってきたのは彼なのにね。」
私の言葉にパク・ジミンもキム・テヒョンも傷ついた顔をする。
「まぁ、そうだけど、主を守るのは当たり前でしょ？」
ふと、私の後ろから声がして、振り向けば、愛しのリュウ・シオンが立っていた。
「シオン様っ」
「あのさ、君の価値観でごちゃごちゃうるさいよ。僕はね、Aの下僕であって、それ以上でもそれ以下でもないよ。」
シオンが、手を上げると、スーツ姿の男たちが、私の部下を、私を、取り押さえた。
「ジミンやテヒョンは関係ない。僕の瞳に映すのはAだけ。君を映すことはないよ。」
取り押さえられながら、聞いた彼の言葉に、私は絶望したのだった。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2021年9月18日 13時
