微笑み ページ19
画用紙をめくる指が止まる。
その目は普段の冷たい鋭さを潜め、穏やかな光を帯びていた。
「君の絵は、どこか目を引く。」
＿＿！
心臓がうるさい。顔が熱くて仕方ない。
逸らしてしまいたいのに、その優しい微笑みから目が離せない。
「これは…好ましい、ということなのかな。」
「！！」
ぶわっと、なにかが胸に込み上げてきた。
上手いでも綺麗でもなく、ただ私の絵が好きだと。
その言葉が、私にとってどれだけ嬉しいか、きっと雲雀さんはわかっていない。
私はソファから勢い良く立ち上がり、彼の座るイスにずんずん歩み寄って、手中のスケッチブックを覗き込む。
確かめたかった。
雲雀さんにそんな表情をさせたのは＿＿
「君の目に、僕はこう映ってるの？」
「…っ」
息を呑んだ。
その気高い瞳に、吸い込まれてしまいそうで。
彼の示したのは、さっき描き上げたばかりのあの絵だった。
「は、い…」
「そう。」
ふ、と彼が嬉しそうに浮かべた微笑。
それはあまりに優美で、この世でなによりも尊いもののようで、思わず呼吸を忘れた。
「ひ、ばり、さ…」
「ん。紅呂奈、描いたらまた見せてよ。」
満足そうに笑った彼は、立ち尽くす私にスケッチブックを返した。
さっきまでの穏やかな笑顔は、もう見る影もない。
「なにその間抜けな顔」
「う、うるさいです！自分の未熟さを思い知りました精進します！！」
心臓は未だにドクドクと激しく動いている。顔はサウナに入ったように暑い。
雲雀さんはといえば、いつもの涼し気な表情で、
「まぁ頑張りなよ。並中美術部の為にも」
この男はどこまで並中が好きなんだ、と呆れつつも、悪い気はしない。
「も、もちろん！期待しててください！」
♡
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くらら(プロフ) - たくあんさん» ありがとうございます！ (2019年4月27日 23時) (
レス) id: a6342bde11 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん - 最近雲雀さん不足だったから嬉しい…(´･∀･`)更新頑張ってください(●´▽`●) (2019年4月27日 0時) (レス) id: a353fd29dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろこ | 作成日時：2019年4月14日 21時
