# パレット 【 ヒプマイ短編集 】

コスプレ × Ichiro.Y ページ8

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『 お帰りなさいませ、ご主人様！ 』









事の発端は30分前。


ふら〜 ッ とシブヤまで買い物に出掛けていたら









「 そこの可愛いオネーサン！ 」








と声を掛けられた。


声からしてなんとなく分かってはいたんだけどね、うん。









『 私だって分かって声かけてるよね

__________________ 乱数。 』









「 当たり前じャーん！

Aの姿は間違えないよ！ 」









あざと可愛い笑顔を振りまいてウインクまでしてくれる乱数。









「 あ！そうだ！

次に会った時に渡そうと思ってたんだよね〜！ 」









渡されたのは何やら服が入った紙袋。


「 それ着たらきっと喜ぶよ！ 」と意味深な発言を残した乱数とはお別れして一郎の家に向かうとわっかりやすく不機嫌な一郎。









「 なんで俺に黙って乱数と遊んでんだ？ 」








『 え、なんで知ってるの？ 』







「 これ見ろ。 」









突き出されたスマホの画面には「 今Aちゃんとシブヤデートしてるよ〜☆ 」とツーショット写真。


…乱数のばか、いつ写真なんて撮ったわけ。









「 説明、出来るよな？ 」









『 シブヤに買い物に言ってただけだよ！ 』









怪しんでる一郎に『 ちょっと待ってて！ 』と声を掛けて紙袋に入ってたあの服に手を伸ばす。


( 背に腹は変えられない…。 )


意を決して着用し、一郎の前に出た。









『 お帰りなさいませ、ご主人様！ 』









「 …ッ、かわ、え…ッ！ 」









『 一郎に黙ってシブヤ行ってごめんね？ 』








「 わかった、わかったから…頼む、脱いでくれ…。 」







『 …折角だしこのまま着てようかな。 』







「 なッ、…あーもう、どうなっても知らねぇからな。 」









コスプレ、もう絶対にしないと誓ったその日の夜でした。









(( 乱数もたまにはいいことするな。 ))


(( 何故か服のサイズがピッタリってところだけは腑に落ちねぇけどな。 ))









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