先生たちに支配されるな！【実話】

24.裏方篇 愛side ページ25

学校祭の準備は思っていた以上に楽しいものだった。
紗月ちゃんと礼香ちゃんたちと活動できたことは、ものすごくラッキーだった。
2人とも美術は得意だし。かわいいし、優しいし。表に立つ子たちのように、ついていけないほどの意欲みたいなものを感じないから、私も有難く背景を作ったりしていた。

一番すごいのは、紗月ちゃんの絵。最後の方のシーンで夕日が出てくるんだけど、その夕日と海の絵がものすごくキレイ。

ヒマそうにしていた野球部役の男子たちも「紗月ちゃんスゲー！」なんて言いながら、色塗りを手伝ってくれたりする。
途中から、くだらない話や食べ物しりとりをしながら、超盛り上がったりする、
学校祭って、こういうのがいいんだと思う。

そんな素晴らしすぎる背景が完成したのは、本番三日前。結構ギリギリだけど、間に合った。
今までこの絵を見てない主役の苺ちゃんやクラスメイト役のみんなも感動していた。
背景は二種類あるのだが、私たちはそれを支えなくてはいけない。
どこかの演出家サマ(担任)が、偉そうに「こだわり」を持ったからだ。

その日は、多目的室の練習のあとに体育館が使えるらしい。というわけで道具係も背景の動かし方などの練習をした。
事前には聞いていたが担任曰く、「いい場面」の所で担任は感動して、うっとりしていた。
自分の(たいしたことのない)台本にうっとり、とか超気持ち悪い。
私は目の前で支えている背景をブッ倒したくなる気持ちをなんとか抑えた。

練習が終わると、ミーティングが始まった。
それぞれの役割で集まってやるらしい。
担任は私たち道具係の所に来て何かを言っているが、誰もちゃんと聞いていない。

体育館を使える時間までは、まだ余裕がある。だから一度教室に戻ってきた。
すると、花凛が何かわからないけど闇モードになっているではないか‼私は驚いた。

正直、この頃の私たちはバラバラだった。
私、花凛、由梨、泉。みんな仲良かったのに、学祭に対する気持ちが違いすぎていた。

私が一応「大丈夫？」と聞くと「大丈夫じゃない」と言った。
喋れることにホッとしたものの、やっぱり大丈夫じゃないよな……。

+++++
愛が書いたのを泉が書き起こししたものです。

25.裏方篇2 愛side→←23.失敗的な。 泉side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す