13.配役決定の裏で 愛side ページ14
風のーー手紙?
昼休み前の教室に、何とも言えぬ空気が流れていた。
手紙とは?電話じゃなかったのか?
目の前でニコニコ笑ってるコイツは何を考えている?
たくさんの疑問が頭の中で回っている。
「定期テスト終わったら、この台本ちゃんと毎日持ってくるのよ〜」
という担任の声は、私にはちゃんと届いていなかった。
*
地震で延期になったテストも無事に終わったある日。
学活で、劇の配役決定をすることになった。
「俺監督やろうかな」
「少女A誰やるのかな?」
などという劇に前向きな人の声ばかり聞こえる。
ーー私と同じように、この劇そのものに反対している人はどうやらいないようだ。
反対派だったはずの花凛でさえ、「演出助手なろうかな」なんて言っている。
私は、道具係以外やりたくなかった。
あの劇を見るなんて、嫌だ。
私とはまた違う意味でやる気の無い男子、女子は割とたくさんいたらしく、道具係の立候補者はたくさんいた。
...想像していたが、一番面倒臭い状況になっちゃった。あらら。
まずは話し合いで決めることになり、その中で私は最初に口を開いた。
「私、この劇見たくないんだよね。だから劇に出るキャストはやりたくない」
「それなら俺らだってやりたくないよ」
「俺もー!」
男子たちも言い出した。
いや絶対私と違うよね?
私と同じく"劇を見たくない"のなら、こんなニヤニヤして言えるはずがない。
ふと気がつくと、また過呼吸になっていた。
みーちゃんに、「愛、保健室行ってきたら?」と言われるまで、頭が真っ白で何も考えられなくなっていた。
いつも健康、遅刻欠席なしの皆勤賞。
そんな私が保健室に行くのは、この前クラスの前で話した時と今回、中学で2回目だった。
あの時は花凛に演技だよ、なんて言っていたが、今ならわかる。
強がってみせただけだ。
あの本をみんなの前で読むことは、ものすごく苦しかった。
何がって?担任がどれほど酷いことをしようとしているのか、みんながどれほど安易にあの話を劇でやろうとしているのか、ということ。
戻ってから知ったが、あの時1番私の気持ちをわかってくれたみーちゃんが劇に出ることになった。
ごめんね、みーちゃん。
+++++
愛が書いてくれました。
この場を借りて弁解しますが、私が演出助手なったのは、担任の暴走を止めるためです。
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花時雨(プロフ) - 翡翠ノ楓さん» 叫ぶ時の定番です。笑 このクラスでは日常茶飯事でした。笑って頂けて嬉しいです^ ^ (2019年7月21日 22時) (レス) id: 707381074e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠ノ楓 - 何故に王様の耳はロバの耳って叫んだんですか…?これ読んだ時腹筋が崩壊するかと思いましたよ… (2019年6月15日 11時) (レス) id: 9a258b9a35 (このIDを非表示/違反報告)
カモミール。(プロフ) - シトロンさん» 大変失礼いたしました。今後気をつけます。 (2019年1月1日 18時) (レス) id: e321ef376e (このIDを非表示/違反報告)
シトロン - すみません。コメント欄でチャットは止めてください。サーバー落ちしてしまう恐れがあるので、お願いします。 (2019年1月1日 15時) (レス) id: d8371914fb (このIDを非表示/違反報告)
カモミール。(プロフ) - 米野花子さん» ありがとうございます! (2018年12月15日 0時) (レス) id: 3e23062850 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花時雨(元カモミール。) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chamomile-7th/
作成日時:2018年11月17日 23時