奏 −YG− 第二章

＊　(You) ページ23

カヨ姉が出かけて行ってからも何度かユンギからの着信があった
だけど電話に出る勇気が出ずそれを無視し続けて今に至る


22時…
カヨ姉からの着信


ジンの部屋に泊まると言う連絡だろうと確信しつつ通話ボタンを押す



『もしもし？』


黒川『A？今何してる？』


『ぼーっとしてた』


黒川『つまり暇してたって事ね？』


『うん』


黒川『じゃあこれから夜遊びしない？』


『夜遊び？』


黒川『1時間後に眠らない街で待ち合わせね？
じゃあね〜』



返事する前に切れたし…


で？眠らない街って一体どこの事なの？


とりあえず準備を始めるとカヨ姉から地図付きのメッセージが届いた


そこは昔住んでいた街で…
迷う事なく約束の場所に辿り着いた
しかも約束の時間より20分も早くに…
でとりあえず周囲をフラフラしてみた



テヤン「あれ？Aヌナ？」



振り返ると立っていたのはBTSの後輩で俳優のテヤン君…



「あ〜久しぶりだね！」


テヤン「東京に帰省中？」


「そんなとこ」


テヤン「1人で？」


「友達と」


テヤン「そっかぁ
あ…ヤバイ！
一瞬忘れてた…」


「どうしたの？」


テヤン「あれだよ…」



彼が指差した方向には同じく俳優のシン君
何かの撮影中？



テヤン「シニヒョンが母国のファンに向けて生配信中で…
手伝いと言うか付き合わされてて…」


「遅くまで大変だね」


テヤン「ハハハ…
そう言えばカズさんの事大変だったね」


「あぁ…うん」



テヤン君とカズはあるチャリティイベントで知り合いその後私も一緒に何度か飲んだりした事がある
その時よりずっと日本語が上手になっていてただただ驚いた



テヤン「葬儀に行けなくてごめんね？
もう辛くない？」


「大丈夫」


テヤン「そっか
今度日本に来た時カズさんのお墓参りに行きたいな」


「ありがとう
カズも喜ぶよ」


テヤン「その時は一緒に来て案内してくれる？」


「勿論…？」



ユンギの許可が下りれば…だけれども…


その時…



シン「皆さ〜ん
テヤンがナンパしてますよ〜」



何故日本語？
ここが東京だから？
でも母国の視聴者はちんぷんかんぷんなのでは？


不意にカメラ担当のイケメンさんがカメラをこちらに向けてきて咄嗟に顔を隠した私…



テヤン「シニヒョンやめてくださいよ〜
この方は友達なんです」


シン「何だよ〜特ダネかと思ったのに！
撤収だ！
テヤンも行くぞ！」



テヤン君も引きずられるようにして連れて行かれた


バイバイテヤン君…

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