奏 −YG− 第二章

＊　(YG) ページ19

ヘアメイク担当のセナが勝手に電話に出やがった


毎回毎回何なんだよ！
腹立つ！



セナ「ユンギオッパ〜電話だよ？」


「それは出る前に言う事だろ！？
誰からだよ？」


セナ「『俺の女』って表示されてたけど？」



慌ててセナから携帯を奪い取り耳に当てたけど既に切れてて…
だけど着信履歴を確認すると確かにAからの電話だった


直ぐにかけ直したけどAは出てくれなかった



セナ「ねぇユンギオッパ〜
『俺の女』って誰？」


「そのままだ
俺の彼女」


セナ「マジでぇ！？」



マジで煩い
そして超むかつく



ジン「セナ？
勝手に出ちゃダメじゃん！」


セナ「だってずっと鳴ってたから」


ジン「だからってさぁ」


セナ「私ってBTSのメンバーだよね？
付き合いも長いし7人とは一心同体！
だからいいじゃん」



ジニヒョンは呆れ顔でため息をついた


これまでのセナの悪行の数々にもう我慢も限界
きっとジニヒョンは俺以上にそう感じているはずだ



ジン「もしかして電話ってAさんから？」


「はい
きっとセナが出て驚いて切ったんだと思います
かけ直しても出てくれません」


ジン「可哀相に…
きっと今頃色々考えちゃってるよ？」



俺がAの立場だったらと考えただけで頭が痛い
もしAに電話して男が出たら俺だって色々勘ぐり胸を痛める


その後何度も電話したけどAは電話に出てくれなかった


仕事帰りの車内…
スマホの画面を見たジニヒョンヒョンが嬉しそうに笑った


黒川さんからだね…


暫くスマホを凝視していたジニヒョンが突然ﾋｬﾋｬﾋｬと爆笑



ジン「これ見て？」



ヒョンは俺にスマホを持たせた
そこには動画が映し出されていて力士に扮した黒川さんが相撲中
そして勝利後俺たちの曲を熱唱



「これは一体…」


ジン「今日のロケの動画みたい
まだ放送されていないから門外不出！だってさ」


「これって東京…？」


ジン「え！？」



黒川さんの背後には見覚えのあるタワー



ジン「カヨも東京に来てるって事！？」


「そのようですね〜」


セナ「カヨって誰！？」



出たよ…
神出鬼没女…



セナ「ジンオッパ？
カヨって誰なの！？」


ジン「俺の彼女だけど？」



セナは言葉を失った


無理もない
セナはずっとジニヒョンに恋しているのだから…



セナ「私の気持ちを知っているくせに酷いよ！」


ジン「気持ちには応えられないって何度も言ったはずだよ？」



セナは声を上げて泣き出した

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