＊ ページ36
涼介「起きてたの？」
A「今…目が覚めちゃったの」
涼介「体はどう？今夜は少し、顔色が良いね」
そっと伸びてきた手が優しく、私の頬に触れた。
涼介とこんな風に言葉を交わすのは、随分久しぶりな気がした。
A「うん…いつもよりはいいみたい」
涼介「良かった…」
そう言う彼の方こそ大丈夫なのだろうか。
久しぶりに見たその目は赤く充血していて、ひどく疲れているように見えた。
A「こんな時間にどうしたの？」
涼介「会いたくなった。君に」
そう言って彼は、力無く笑った。
その様は今まで見たどの彼とも違ってるような、気がして。
涼介「なんだか久しぶりだね。こうやって話するの」
A「そうだね…」
涼介「もう俺なんかとは顔も合わせたくないだろうと思ってた。本当はそうでしょ？」
A「そんなことは…、」
涼介「いいよ。それでいい」
思わず目を伏せる。
それは半分は本当で、半分は嘘だった。
彼を恨みたいわけではない。
でもやっぱり涼介に会うと、どうしてもあの夜のことを思い出してしまう。
言葉に詰まり、俯いた私。
涼介は小さくため息をついて、切り出した。
涼介「…俺には俺の正義があった。それは何があっても揺るがない自分の芯みたいなもんで、
だから君を守るためなら鬼にだってなれた。それが正義だって信じていたから」
それはまるで歌うように綺麗な声で、彼からすらすらと紡ぎ出されるその言葉に、ただじっと耳を傾けていた。
涼介「でも今は…何も分からなくなった。なんのための正義なのか、誰のための剣なのか」
A「何かあった…？」
涼介はただ小さく笑って、首を横に振った。
だけどその瞳を、瞬く間に水分の膜が分厚く覆って、
涼介「っ…、」
一筋の涙が零れ落ちる前に、彼は私をぎゅっと抱き締めた。
A「涼介…？」
その肩が小さく震えていた。
涼介「ごめん…、」
A「…！」
掠れた声は、涙で滲んでいた。
涼介「ごめん、少しの間でいいから…こうやっていさせて…」
それは、彼が私に対して初めて見せてくれた弱さだった…
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ばぶてり - とりあえず今出ている分まで全て読みました。すごく物語を作るのが上手く違うのも読みたい！と思って他の作品も見に行ったらまさかの前に読んでいた作品のほとんどが作者様でした。今まで色んな人の作品を読んできましたが、この作品が1番好きです。応援してます！！！ (2020年8月23日 9時) (
レス) id: 9d1b03072c (このIDを非表示/違反報告)
° * 。いのくま。* ° - 待ってました！現実世界、お疲れ様です！慧くん、どうなっちゃうの…？！というハラハラが止みません！最終話を読んでも感動で胸一杯になると思います。ちゃみ様の小説の世界観が大好きです！そして小説も！はな壱もんめ！ラストスパート、頑張ってください！ (2020年6月29日 1時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
この(プロフ) - 待ってました！！読んでるだけ自分が主人公になったような感覚になり、ハラハラドキドキしてます！！この時期いろいろと忙しいかと思いますが無理をなさらずちゃみさんのペースでゆっくり書いてください！上から目線な感じになってすみません、楽しみに待ってますね！ (2020年6月29日 0時) (レス) id: 2ec27d7b3e (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - 伊野尾様はこれからどうなるのか…涼介様はどうするのか…夢主cはどの道を進むのだろうか…。伊野尾様はそのまま素敵で涼介様は夢主cを想っているのが凄く伝わるし…。結末、楽しみにしておりますっ！ (2020年6月8日 15時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - お久しぶりです！この自粛中お引っ越しをしまして、ネット工事ができず…むずむずしておりましたw久しぶりにみたちゃみ様のはな壱もんめ！感動して涙が溢れましたw (2020年6月8日 15時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃみ
| 作成日時：2020年5月1日 0時
