閃光 ページ6
仕事は朝の6時から始まり、宿舎の中にある5つのバスルームの清掃から始まる。彼らのスケジュールによって仕事の始まる時間は変わるし、基本的に顔を合わせないように動く。
何しろ住んでいる人数が多いのですぐ汚れる。日にち何回かバスルームの掃除が必要だった。部屋の中は基本的に彼らに任せているが誰もいない時は軽く掃除機をかける。
メンバーの名前もすぐ覚えた。あの時会えなかった同い年の2人はヨハンとハンギョル。ヨハンは礼儀正しくて、ハンギョルは明るくて面白い男だ。
年が上なのはスンヨニヒョンとウソギヒョン。(優しくヒョンと呼んでと言ってくれた)
そして一番年下のドヒョン。
みんないい人ばかりだ。メンバーはかなりの早朝からミュージックビデオ撮影に出かけたので、バスルームの掃除を済ませてしまおう。
彼らを羨ましく思う気持ちがないといったら嘘になる。
私もアイドルになる夢を見ていたことがあった。
彼らのことを知りたくてネットで調べたがどのステージもよかった。
あのステージに私も立てたら…。
バスルームの鏡に映る自分の姿を見た。もうしばらくダンスは踊っていないし歌も歌っていない。
未練がましいな。あの日全部諦めて、名前も捨てて、Aとして生きると決めたのに。
私は世界から消えてしまったのに…。
そんなことをぼーっと考えているとポケットの携帯が震えた。マネージャーからだ。
「今すぐスタジオに来て欲しい」
呼び出しに慌てて掃除道具を置いて財布だけ持ってタクシーに飛び乗った。言われた通り、頼まれた差し入れをたくさん持って。
(叔父さん…。住み込みの掃除の仕事だって言ったじゃないか…)
ソウルからしばらくタクシーを走らせてスタジオに着くと入り口でマネージャーが待っていた。
「悪いね、差し入れを手配したんだけど手違いで届かなくて」
助かったよ。肩を叩かれ、手がちぎれそうな思いをしながら飲み物をスタジオの中へ運ぶ。
扉を開けた瞬間、体がビリビリと痺れるような衝撃が体に走った。
近未来的な大きなステージ、真ん中には彼らがいる。
X1、それが彼らのグループ名だ。
音楽に合わせ踊ると地面が揺れる。寸分も違わないダンス。圧倒的だった。
すごい…。これがX1。
まるで閃光が走るように。
音楽が一瞬で私の脳を貫き、視線が彼らから逸らせなかった。チカチカと目の前に火花がちる。
彼らは私に大きな衝撃を与えた。
私の夢見たアイドルが、そこに存在していた。
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cham-chi(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます！今更な気もしたんですがそう言って頂けて本当に嬉しいです。励みになりました！！読んでいただいてありがとうございました！！ (2020年9月16日 11時) (
レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - X1の作品が少なくなり寂しい思いをしていまきたが、更新通知が来るたび、まだまだ私のように応援している人がいるんだなと思い嬉しくなりました。素敵な作品に出会えて嬉しかったです！これからも頑張ってください(^^) (2020年9月16日 2時) (レス) id: 70fff2cd4d (このIDを非表示/違反報告)
cham-chi(プロフ) - カナル式さん» カナル式様＞コメントいただけて凄く嬉しいです！今更書くのはどうなんだろうと迷っていたんですがそう言っていただけて書いた甲斐がありました。下手くそな文章ですがもう少しお付き合いください。いつもありがとうございます。 (2020年9月11日 7時) (レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
カナル式(プロフ) - この作品すごく好きです！ 今はX1の作品があまり無いのでこうやって更新して下さるのが嬉しいです！これからも続きを楽しみにしています(*^^*) (2020年9月11日 0時) (レス) id: 0d79bc4d43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cham-chi | 作成日時：2020年9月5日 0時
