腹が減ってはなんとやら【雪赤】

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しばらくして前菜が目の前に運ばれてきた。
えらい綺麗なお皿に乗ってるのは…サラダ？
よく分かんないけど、彩り鮮やか。


次にパスタ。
そしてなんか魚とまたサラダが出てきた。


「コースってこんなに長いんだ…」

「でも美味しいでしょ？」

「体が突然の贅沢に驚いてるよ」

「ふふっ、たまにはご褒美あげないと」

「……だね」



うん、なんとなく分かる。
私も今まで本当に疲れた日はコンビニスイーツをひたすら食べて糖分をご褒美にしてたもん。

それをちゃんと一食のご褒美にする、ってことなんだよね。
こっちのが、体にはいい気がするよ。


「お待たせ致しました。デザートの自家製パンナコッタでございます」


続いて運ばれてきたのはデザート。
これまた綺麗なお皿に素敵な盛り付けをされている。

コンビニの298円のモンブランとは大違い。
あれはあれで美味しくて好きなんだけどね。

口に運ぶと濃厚な甘さが口一杯に広がって「こ、これが幸せ…！」と衝撃が走った。


「めちゃめちゃ美味しいよこれ…！うわっ、すごぉ…初めて食べた」

「…そんな美味しかったなら、俺のも食べていいよ」

「えっ、いいよいいよ。食べなよ」

「まだ口つけてないから、はい。遠慮しないで」


あんまり断るのも悪いと思って、何度かの押し問答のあとこちらが折れることとなった。

なんだか子ども扱いされてる気がしないでもないけど、本当に美味しかったので有り難くいただいた。

美味い美味いと食べる私を満足そうに見つめる宮舘。

ここ数日で何度見てきたか分からない顔を見て、もしかして彼は「人が沢山食べるのを見るのが好き」なのではないかという仮説が私の中で出来つつある。

それはまあ別にいいんだけど、あんまり見られると恥ずかしいのでやめてほしいのが正直なところではあるけれど。

なんだよ、今までそんな顔してこなかっただろ。
メロンパン食べる私は可愛くなかったのかよ。

いや、今も別に可愛くはないでしょうよ。


「水野？どうした？」

「…ごめん、最近自分で言って自分で傷つくことが多くて…」

「なにそれ」


宮舘は呆れたように笑った。
食後のコーヒーは、私には少し苦かった。

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