Luther ページ2
ここにもだいぶ馴染んできた
と言っても、誰が住んでいるのか分かってきた程度だ
そしてこの家には理由は分からないが階級がある
1番上のトップは………
「ふむ、何を見ているのかな?」
急に後ろから話しかけられて、驚愕する
後ろを見ると当の本人、ルーサーが立っていた
この人もあのランダルって人と同じで、何を考えているのかさっぱりだ
そして顔も無表情なので、感情すらも読み取れない
彼と話す時は彼の地雷を踏まないように会話をしている
「これを見ていたんだね」
「……Aはあまり気にしなくていいよ」
「分かったかい?」
何かを知られたくないような言いよう
恐らくこの人に抗うと、自分の身に何が起こるか分からないので大人しく頷いた
「いい子だね」
そう言って彼は私の頭を優しく撫でた
その優しさが私にとっては逆に恐怖を感じさせた
「そんなことより、A。私とお茶をしよう」
「楽しくティータイムだよ」
「Aも好きだろう?」
さっきのことはまるで無かったかのようにはぐらかすと、お茶を誘ってきた
お茶自体嫌ではなかったので、もちろん了承した
***
「こうしてAとゆっくり話す時間ができて嬉しいよ」
相手は優雅に紅茶らしきものを啜っているが、どうみたってそれは紅茶の色ではなかった
なぜか紫に近い、そして変なものが浮いている
「どうした?」
「紅茶は熱いうちの方が美味しいよ」
彼には悪いけどこれは飲められる気がしない
「Aは具合でも悪いのかな」
「でもこれを飲めば元気になるはずだ」
「ほら、遠慮しなくていいよ」
カップを持ってぐいぐいと押し進めてくる
もう飲むしか選択肢がないのか、と意を決して飲んだ
色味の凄い液体を流し込むと、思いのほか飲める味だった
……考えすぎだったかもしれない
一息つくと、彼は突然質問をしてきた
「Aはこの家から出たいと思ったことはあるかな?」
急に張り詰めた空気が流れ、嫌な汗をかく
私は首を横に振った
「…おや、嘘をついているね?」
「私に嘘をつくなんて」
「とても悲しいよ、A」
「ほんとは今すぐにでも逃げ出したいだろうに」
そう言い私の頬をゆっくりと撫でる
見透かさた
取り繕った笑顔も動作も、彼には全てバレていた
「でもそんなことは許さない」
「私がね」
彼がそう言った途端に視界が歪み始め、意識が朦朧としてきた
最後に見たのは私を横抱きして、初めてみせる笑顔の彼だった
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ちゃー(プロフ) - 柏餅さん» わーい🙌🏻ありがとうございます🥰🫶🏻 (4月5日 16時) (レス) id: 7d56df30bb (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 神すぎますゥゥゥ! (4月5日 7時) (レス) @page3 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃー | 作成日時:2024年3月29日 0時